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三つのゴール

「MG」「RG」「DG」というものをご存じだろうか。目標にも種類があるというお話しだ。

過日、ある会社での経営会議。健康食品をデリバリーするというこの会社が、来年度から酒のデリバリーも開始するという。健食と酒、どうみても非常識だが彼らは真面目だ。この新事業「酒デリ」の販売計画が議題になったとたん、紛糾しだした。

社長「ところで本部長、その新事業は初年度でどの程度の売上高を見込んでいるのかい?」

本部長「そうですね、なにしろこの景気ですし、酒マーケットも厳しい状況にあります。おまけにうちにとっても酒という商材に不案内ゆえ、月商300万円程度からスタートしようかと考えております。」

社長「ナニ、たったの300万円?一年間の準備期間をかけてリリースする事業がたった300万円かい?話にならんよ。仮計画の段階では最低でも500万で、目標はそれ以上という話だったじゃないのか。」

本部長「いえ、私が申し上げた300万というのは、これを割るようでは利益が出ないという意味での必達目標のことでして・・・」

社長「私は最低限の必達値など聞いていない。決意をもって追いかける挑戦目標を聞いているのだ。」

専務「社長、ちょっとよろしいですか。口をはさむようですが、今回の新事業はそもそも3年以内に新しい収益柱を育成するためのステップとして計画した事業のはずです。」

社長「もちろんそうだが。何を言いたい?」

専務「ちまちまやらずに、ある程度、社運をかけるようなつもりで人材も経費も投入し、初年度から1,000万程度は期待できるまでの事業にすべきじゃないですか。今の及び腰のムードでは、テストマーケティングの段階で行き詰まっちゃいそうで心配ですよ。第一、300万や500万では、本部長もやっててワクワクしないでしょ。」

本部長「まぁ、それはそうですが一歩ずつ足元を固めながらやっていこうと思っていますので。」

社長「ふむ、三者三様の思惑か、困ったな。武沢さん、こんなときどう整理したらよいでしょう?」

このように、企業経営では目標に対して意見が対立することが度々ある。現実派とロマン派が対立する時などは相当に議論が熱くなる。健全な対立は大いに歓迎だが、目標に関する知識をもたない対立は単なる数字の言い合いでしかないのだ。

この会議で、私が申し上げたのが冒頭の目標の種類という話。

1.「MG」・・・ミニマムゴールの略
最低限これをクリアしないと事業が存続できないという必達目標

2.「RG」・・・リアルゴールの略
現状を直視した上で、努力分も加味して到達しようとする現実目標

3.「DG」・・・ドリームゴールの略
ワクワクするような挑戦的な目標。これを達成したら世の中変わっちゃうと思えるくらいエキサイティングになれる目標。

この解説が終わるや否や、専務が質問を発した。

専務「武沢さん、それって目標をいつも三つ作れということでしょうか?むしろ目標は、寝ても覚めても追求すべきたった一点に絞られるべきものだと思うのですが、いかが。」

武沢「大変良いご質問です。その通りで、いつも忘れてならない目標は一個であるべきです。それは『RG』の一個です。ただし、経営者としては『MG』の値は最低でもそれを超える必要がありますので、知っておくべきでしょう。現場責任者にも『MG』の値はオープンにした方がよいでしょう。また、いつも発想が小さくまとまらないように、アイデアを拡大する意味で、『DG』を作って能力ストレッチしたほうが良いでしょうね。だが、寝ても覚めても頭にあるのは『RG』の一個だと思いますよ。」

この会社、さっそくこの三つのゴールを設定した。「MG」が、本部長がはじいたコスト試算をもとに300万円に決定。「RG」が社長が考えていた500万円に、「DG」が専務のアイデアの1,000万円となった。この瞬間、「酒デリ」事業の社内公認目標は「RG」の500万円となったということでもある。

社長は何かの計画をたてる際、この三つの目標を押さえておこう。

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「がんばれ社長!」武沢 take@e-comon.co.jp