雑誌『ターザン』の最新号は「ホルモンがカラダを救う!」というもの。ホルモンを理解し、ホルモンをうまく活用することが大切である、という特集で興味深かった。成長ホルモン、男性ホルモン、女性ホルモン、脳内ホルモン、睡眠ホルモン、肥満ホルモン、アンチエイジング、という目次構成。これを読んで私は、”目標の達成にもホルモンの活用が欠かせないのではないか” と思った。なぜなら、ホルモンを敵に回すとメンタルにも影響を及ぼし、気持ちはあっても身体がついてこないということが起こりうるからだ。
先日のバンコクでの出来事を思い出した。
「武沢さんのメルマガを読んでいます」とバンコクでの和僑会パーティで話しかけられた。30歳代の男性で、こちらで起業したという。手帳を開きながら「これをご覧いただき、感想をお聞きしたいです」と彼。そこには来年の 5大目標が書かれていた。おおむねこんな内容だったと思う。
<2014年 5大目標>
1.年間売上高 5億円の達成(今 3億円)
2.個人年収 2,000万円の達成(今 800万円)
3.家族旅行で年末にハワイに行く(予算 200万円)
4.TOEIC(国際英語テスト)で 700点取る(今 550点)
5.体重を 5キロ落とす(72キロ→ 67キロ)
「素晴らしいじゃないですか」と私が言うと、彼はニコリともせず「目標フェチなので目標や計画を作ることが大好きなのですが、実は、行動するのが苦手なんです。途中で飽きてやめちゃうクセがあるんで、結局来年も同じような目標をかかげることになります」と。
たしかに目標を作るのは楽しい作業である。しかし、それを達成するのは容易ではない。それがダメならこれ、これがダメならあれ、アレがだめなら…と、手を変え品を変えて手を打ち続けていく。もしひとつの策がうまくいかず、それだけで万策尽きていたらビジネスはうまくいくはずがない。
そうした一貫した行動を妨げる敵は「貪瞋癡(とんじんち)」である。仏教用語だが、人間の煩悩の根っこにあるのがこれだ。「貪」(とん)とは、貪欲(とんよく)ともいう。むさぼる心のことである。食欲、睡眠欲、性欲など、人間の根本欲求もむさぼりに発展しやすいので、適切にコントロールする必要がある。「瞋」(しん)とは、怒りの心。誰かを攻撃したい気持ちがめばえたとき、悪いのは自分ではない、うまくいかないのは自分のせいでない、と考えるようになり、やがて行動を放棄する。「癡(痴)」(ち)は、愚癡(ぐち)ともいう。真理に対する無知の心という意味で、無目標状態で漂うような毎日をおくることになる。
この三つを「三毒」ともいうが、すべて出発点は「貪」(とん)である。人間の生理的欲求へのむさぼりが強すぎると、エネルギーをそれらに放出することになる。要するに、寝過ぎ、食べ過ぎ、飲み過ぎ、夜遊びしすぎ、という結果、ホルモンのバランスを崩し価値ある目標に割くべき情熱や気力が生まれない。どうにもカラダもココロも言うことがきかない、というのはホルモンバランスの崩れである可能性が高い。
飲食、睡眠、性欲を適切にコントロールし、身体と心を鍛え、正しいホルモンを分泌させよう。そうすれば、あなたの能力が適切に使われるようになり、目標への集中力が生まれる。やがてそれが、人や運気を引きつけ、あなたの目標達成の可能性は大いに高まる。そういう意味では運気もホルモンに連動しているのかもしれない。
我欲を制御し、目標達成に体内のホルモンを味方にするのだ。