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10年後を待ち伏せする方法

10年後を待ち伏せする方法

●『バナナマンのせっかくグルメ!!』という番組がある。旅先で美味しいお店を紹介して
もらう番組だがバナナマン人気と相まって視聴率も高いようだ。

●先日、東北のある街で遭遇した親子連れに「どこか美味しいお店を紹介してよ」と頼む
バナナマンの日村。すると子供が「マック」(マクドナルド)と即答していたのが印象的だった。
結局、魚の美味い店に行くことになったわけだが、いつか日村がマックに行く日が来るかもしれない。

●子供は10年後、大人になる。子供の味の好みを知ることは10年後の経営戦略に影響する。
昭和50年代前半、私がサラリーマンとして居酒屋に通いだしたころ、ビールのシェアは「キリン」が63.8%だった。つまり「ビール」と注文したら自動的に「キリン」が出てきたのだ。

●たまに「アサヒしかありません」といわれるとがっかりしたし、実際に当時の「アサヒ」は飲み慣れていないせいか、おいしく感じなかった。
アサヒは後発のサントリーにまでシェアを抜かれかねない危機的状況に追いこまれ、その頃は「夕日ビール」と陰口をたたかれていた。

●そんなアサヒがキリンのシェアを逆転するわけだから、本当に世の中なにが起きるかわからない。アサヒがやったことは「10年後に喜ばれるビールの味の研究」だった。

●そのためにアサヒは、小学生の味覚を調査した。
彼・彼女たち小学生こそが10年後にビールを選ぶ若者になる。調査にあたっては、給食の味の傾向を調べ、街頭調査し、おいしい味のキーワード探しを行った。

●その結果、成功しているキリンが「苦み」で勝負しているのに対し、子供たちの傾向は、軽めの味付けでありながら「キレ」と「コク」を欲していることがわかった。
つまり10年後に向けての開発方針は「軽めでキレとコクがあること」と決まった。

●こうして膨大で地道な挑戦がスタートしたわけだ。世界中のホップを集め、新製品にふさわしいものを選びだす。味に「キレ」と「コク」を出すためにはどうすべきか・・・、
アルコール度はどうすべきか・・・、すべてに答えを見出していった。

●業界トップシェアの「巨人・ガリバー」に対しては、すぐ勝とうとしてはならない。
10年後に勝つための準備を今から始めれば良い
そういう戦い方もあるということを理解しておこう。

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