国内経済

名将は辛勝をめざす

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」は野村克也監督の有名な言葉。
読んで字のごとくの意味だが、「負けゲームを敗因不明で終わらせるな」という教訓も込められている。

  • 失敗に不思議の失敗なし
  • 挫折に不思議の挫折なし
  • ミスに不思議のミスなし

でもある。

まずは失敗やミスの原因を他責にせず、自責にする。
自責と言っても「自分がわるかった」「私が甘かった」などの漠然とした自責でなく、次からどの部分の行動をどのように変えるのか、といったピンポイントの改善が必要だ。

プロ野球はシーズンを通してもっとも勝率が高かったチームが優勝する。
絶対的に強い必要はなく、相対的に強いことをめざすのがプロ野球。
日々闘いながら学習と成長を続けられるチームが優勝する。

V9時代の読売ジャイアンツはセリーグにもパリーグにも敵なし状態に強かったが、実態は辛勝つづきだった。
名勝は勝ち続けることをめざすので圧勝ではなく辛勝をめざす。
1950年以降のセリーグでもっとも勝率が低い優勝はV9を達成した1973年(昭和48年)の巨人だった。
成績は66勝60敗4分け、勝率5割2分4厘。
シーズンを通して勝率6割なら優勝確実、5割5分あれば優勝争いというなかでの5割2分はギリギリの辛勝といえる。

不思議の負けをなくすことが次の勝ちにつながる。
ビジネスでいえば不思議の失注、不思議の赤字をなくすことだ。
不思議をなくすには知識を増やす必要がある。
知識不足こそが不思議をつくる原因だからだ。
経営も基礎知識が欠けていると、膨大な時間をムダにする。

たとえば、

  • 事業とはどの程度の売上や粗利益や営業利益があれば良いのか?
  • それらの数字の社員数ひとりあたりの指標はいくらか?
  • 社長である自分や今後採用する従業員の給料の決め方は?
  • そもそもどういう状態なら従業員を増やしてもよいのか?
  • 借金は幾らまでなら安全といえるか?
  • 運転資金はどの程度確保しておけばよいか?
  • 営業利益は売上の何パーセント必要か?

こうした質問に対して世の中には三種類の経営者がいる。

  1. こうしたことの答えを知っている経営者
  2. こうしたことの答えを知らない経営者
  3. こうした設問の意味も理解できない経営者

「2」や「3」の人はもっともっと経営を学ぼう。
経営や経営者の原則を学ぶならまずドラッカーなどのベーシック本を読む。
経営を財務スコアの面で理解するなら『野望と先見の社長学』などの好著がある。

「私は『1』なのに赤字です」と言う人がいるかもしれないが、その人はもっともたちがわるい。
会社を良くしようという情熱と闘争心が足りない。
本気になればいつだって勝てるという心の余裕が本気になれない自分をつくっている。
改めてリーダーとは何か、経営者とは何かの根本を勉強しなおすべきだろう。