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ハーバード・サーベイ

ハーバード・サーベイ

●ある外資系教材の営業トークに「ハーバードサーベイ」というものがある。ハーバード大学が職業をリタイアした65歳のアメリカ人を調査した結果、つぎのように分布されたというものだ。

 3%・・・思い通りの人生を送っていた
 10%・・・平均以上に恵まれた人生を送っていた
 60%・・・平均的な人生を送っていた
 27%・・・援助を必要としていた(国や地域、親族などの)

●この「ハーバードサーベイ」というものがどのような実態の調査なのかは聞いていない。どなたか出典をご存知であれば教えていただきたい。出典はさておき、このような4つの階層になるであろうことは想像できる。
「できれば一番上の階層に行きたい」この話を聞いた29歳の私は心中で思っていた。

●営業の男性は私にこう言った。
「こうした人生の満足度合いの差を生んだものは『習慣』にあることもわかったのです」
「習慣?」
「武沢さん、誰だって習慣の奴隷ですが、習慣は慎重に注意深く自分で選ぶことができるものでもあります。成功と失敗を分けるものは才能や性格ではなく、どれだけ好ましい習慣を身につけることができるかどうかの問題です。そこに気づいていただきたいのです」

●成功するためなら何でもやると決めていたので営業マンの声は勝利の福音に聞こえた。営業マンの語りは熱を帯びていった。

「この教材にあるCD(当時はカセット)を毎日聞いて成功する人たちの考え方や行動の仕方を武沢さんの血液のなかに溶かし込んでいってください。また、音声にあるガイダンスにしたがって行動計画書づくりに取り組んでください。それだけで武沢さんは自然に成功者と同じ習慣が身につき、やがて武沢さん自身が皆があこがれる成功者になれるのです」

●「本当に成功できますか?」
「本当にできますか?とおっしゃいましたか。ご自身が疑ってどうしますか、ご自分を信頼するのはまず武沢さんご自身です。ご自身の潜在能力や可能性は無限にちかいほどたくさんあることを信じてあげて欲しいのです」

●これは外資系教材SMIプログラムの営業トークだが、よくできていると思う。彼らが自らをSR(Sales Representative、営業の大使)と呼び、自分たちの仕事は営業ではなく「モティベーター」と自称しているのも分かるような気がした。
私はサインした。人生は一度なのでABテストはできないが目標設定と行動計画の習慣はそのとき以来身についた。

●ただ、まだ満足できる結果がでているとは思えない。やり方が生ぬるい証拠だろう。
1980年代から用いられているはずの「ハーバードサーベイ」だが、あれから40年経ったいまも「3%、10%、60%、27%」の分布は変わっていないような気がする。

●NRI(野村総合研究所)が2019年に調査した結果、世帯金融資産の分布もハーバードサーベイと似た結果になっている。

トップ3%・・・富裕層(世帯金融資産1億円以上) 132.7万世帯
次の7% ・・・準富裕層(  〃  5千万円以上)341.8万世帯
次の13%・・・アッパーマス層( 〃 3千万円以上)712.1万世帯
それ以下の77%・・・マス層( 〃 3千万未満)4215.7万世帯

●また令和元年の国税庁「民間給与実態統計調査」では、全給与所得者約5255万人のうち約256万人(男性約229万人、女性約27万人)が年収が1000万円超であることを発表した。その比率は4.8%である。

●どのような切り口の調査でもトップ層は3%前後になるようだ。
「高収益トップ3%倶楽部」の石原明さんもそんな気持ちで会のコンセプトや名称を決めたはずだ。

人との比較ではない。昨日の自分と今日の自分、そして明日の自分、                                                  一歩でも秀でようとする心構えの差が習慣の差となり、結果の差となる。