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経営者の信頼度ってそんなに低いの?

【今日の新作YouTube】

経営計画を相談する会社

経営計画発表会ではなく、経営計画相談会に切りかえた会社があります。
社長が海外進出の是非が決断できないまま当日を迎えてしまった会社です。
結局、この会社は海外に進出し非常にうまくいったのですが、私は経営計画を相談したことが成功の要因ではないかと思っているのです。

『経営者の信頼度ってそんなに低いの?』

●次の職業のうち、真実を話していると思えるのはどの職業か?
何個選んでも構わない。
・・・
警察、僧侶、ジャーナリスト、寄付団体幹部、科学者、労働組合幹部、
軍人、銀行員、看護師、不動産仲介業、ビジネスリーダー(経営者)、
教師、世論調査員、裁判官、(ニュース)キャスター、広告会社幹部、
エンジニア、地方議会、大学教授、一般通行人、大臣、公務員、医師、政治家全般、歯科医
・・・

●この調査は1983年以降、英国の市場調査会社が英国内で行っているもの。
「日経ビジネス」(2020.07.20・27合併号)内のコラムにその調査結果が載っていた。
このコラムはオックスフォードで経営を教えるコリン・メイヤー教授の論文もあわせて紹介していた。
これを読んで私はいろんなことを感じたわけだが、興味のある方はこちらの日経コラムもあわせてお読みいただきたい。

★企業は最初から嫌われている フリードマン・ドクトリンの功罪
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00123/00059/

●まず衝撃的だったのはイギリスでは「ビジネスリーダーは信用されていない。むしろ嫌われている」という現実。
調査の結果、信頼されている順位は下のようになった。
何パーセント信頼されているかの数字もグラフで出ているが数字の値は私が読み取った推計値。

<信頼されている職業>
1位:看護師 95%
2位:医師  93%
3位:歯科医  91%
4位:教師  90%
5位:エンジニア  85%
6位:大学教授  84%
7位:科学者  82%
8位:裁判官  81%
9位:軍人  80%
10位:警察  75%
11位:一般通行人  65%
12位:公務員  64%
13位:僧侶  63%
14位:キャスター  61%
15位:世論調査員  55%
16位:労働組合幹部  46%
17位:寄付団体幹部  43%
18位:銀行員  42%
19位:地方議会 40 %
20位:ビジネスリーダー  30%
21位:不動産仲介業  25%
22位:ジャーナリスト  24%
23位:大臣  18%
24位:広告会社幹部  17%
25位:政治家全般  13%

●いやぁ、恐れ入った。イギリスでは経営者の評価がこんなに低く、しかも4分の3の人たちから信用されていないという現実。
どうしてこうなるのだろう?自己中心的な金儲けを企んでいる人たち、といった印象があるのだろうか。

●日本では武家社会において「士農工商」の身分概念があったが、ヨーロッパにおいても封建制度が長く続いたため、権力者は年貢を納めてくれる農民を保護した。
そこへ商品経済をもちこんで秩序をみだす商業者があらわれたわけだから、厄介者扱いして当然だろう。
まさかそのなごりではないかと思うが、一番たくさん税金を納めているビジネスリーダーがかくも信用されていないとは驚きだ。
「一般通行人」の半分以下の信用力しかない。
政治家の信頼度にいたっては、盗賊に毛が生えた程度なのではなかろうか。

●問題はなぜ「ビジネスリーダー」が信頼されていないか、である
日経ビジネスのコラムによれば、「企業の目的が利益の追求にあるからだ」というメイヤー教授の意見を紹介している。
そしてメイヤー教授は利益以外の目的をもつことの大切さを説き、それを「パーパス経営」と名づけている。
日本人からみれば、何をいまさら「パーパス経営」だ、と吹き出しそうになる。
とうの昔から我々はそれを実践してきている。

●英国が長年支配してきた香港で私は経営理念の講義をしたことがある。
対象は日本人だった。
利益の上位概念に目的を掲げ、それを経営理念という、といった話をしたところ、聴講者のひとりで当時大学生だった若者が感嘆の声をもらした。
理由をきくと、「ビジネスに利益以外の目的が必要なのですね」と学生。
無論そうだよ、日本ではそれが常識だ。
「道徳経済合一説」をとなえた渋沢栄一以降、日本で株式会社制度がはじまった150年前から経済一本の経営ではダメだということを日本の社長は知っている、と私。

●おそらく日本の「経営者」は、イギリスの「ビジネスリーダー」よりも相当高い信頼を勝ち得ているはずだ。
だが大企業は不祥事や不正が相次ぐことから日本でも信頼度は低い。
こちら↓が日本の信頼度順位。

★ITMediaビジネスOnline
https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1211/08/news048.html

●メイヤー教授はこう説く。
「企業の目的とは、地球上の人類が抱える問題に対して『利益を生み出せる解決策』を提示することだ」
大企業にとっては、とてもよい定義だと思う。
中小企業にとっての企業の目的は次のようなものになるのではないか。

「社会の問題、あるいは顧客の問題に対して『利益を生み出せる解決策』を提示すること」
利益を生み出せるとは、活動資金を継続的に捻出できる状態を意味する。