その他

クリエイティブな巣ごもりをしよう

●波乱の4月が続くが、先ごろ発表された3月の倒産レポートを見てい
ると、ほぼ全産業で倒産件数が増えている。ただ、「コロナ倒産」
12件しかなく、勝負は今月であることがわかる。

●この3月は年度末と新型コロナの影響がダブルで襲いかかったわけで、
先行きを悲観して自殺する人が増えたのではないかと心配した。
しかし、警察の発表によれば3月は1,701人と、前年の1,856人を9%下回
ったそうだ。胸をなで下ろす結果になっている。これは私の想像だが、
いまの非常事態が自分や自社だけのものでなく、世界中が悪いのだ
ら自分も耐えられる、という心理なのかもしれない。

●ただ、これも長びくと状況は悪化する。こんなとき政治が助けて
れるとよいのだが、当座の資金支援まで。当面は生き延びることが
きたとしても延命行為にすぎない。3ヶ月後、半年後の業績を保証して
くれる第三者はいない。あくまで当事者である個々の企業がそれを
るしかない。

●今月の日経ビジネスの特集テーマは『コロナエフェクト』。直訳
れば「コロナ効果」。感染が今なお拡大し、命を落とした方がたく
んいる中でのこの見出しは不謹慎に思えるが、記事を読むうちにそ
タイトルに合点がいく。テレワークの普及やZoomを始めとするオンラ
イン会議の急拡大は、働き方のみならず学び方もコミュニケーショ
も変えた。以前からこうした取り組みが始まっていたが、感染拡大
降は、Zoomだけで利用者が3ヶ月で20倍になるなどすさまじい勢いでパ
ラダイムシフトが起きている。

●コロナ収束が実現したあとも、完全に元通りに戻ると考えないほ
がよい。私自身も3月以降は行動を自粛し、人に会っていない。
自宅とオフィスをひたすら往復するだけの、準・巣ごもり状態だ。
担当の税理士が月に一度訪ねてくる以外は、ほぼすべてのミーティ
グやコンサルティング、セミナーをZoomに変更した。
出張好き、旅好きの私が自宅とオフィスの往復だけで済ますことが
きるなんて。平穏時ならこんな変革は数年かけてやるのだろうが、
常時の今は待ったなし。ひと月でやってしまった。

●今までアナログで提供していたサービスをデジタルで提供するよ
に変えることを「デジタルシフト」というが、幸い私はコンサルテ
ングの仕事なのでそれが可能だ。同じことを飲食業や旅行業、小売業、
建設業などでもすぐにできるとは思わない。ただ、新しいビジネス
デルに転換する必要がある。しかも急いでそうせねばならない。

●今こそ経営者はポストコロナ時代の「第二創業計画」をつくろう
のんびり巣ごもりしている場合ではない。当座の資金手当を済ませ
ら、すぐさまとりかかろう。

1.新・経営理念
  コロナショック以降、人々の消費行動はどのように変わったか。
  また我社のSWOT(強み、弱み、機会、脅威)はどのように変わ
  たか。
  それらを踏まえて、従来の経営理念はそのまま使うべきか、変え
  るべきか。変えるならどのような理念にすべきか。
2.新・顧客創造計画
  従来の事業のうち今後も需要の伸びが期待できるのはどれか。
  反対に今後、撤退/縮小すべき事業はなにか。
  新たに立ち上げるべき事業、サービス、メニューはなにか。
3.新・損益計画
  今月以降、12ヶ月先までの月別で期待できる売上/粗利益は幾らか。
  同様に、その期間の固定費はいくらか。
  その結果、月次で営業利益が黒字になるのはいつか。通期で黒字
  確保できるか。
4.新・アクションプラン
  上記「2」「3」を実行するために誰が、いつまでに、何をする
  かを具体的に決める。

●そうした「第二創業計画」をつくる上では、今いるスタッフと一
にそれを作ろう。もちろん「1」の理念の部分だけは社長の一存で
めても問題はないが、とにかく一人でも多くの意見や考えを聞くこと。
いくら優秀な経営者でも、一人で全部つくった経営はバランスが悪い。
スタッフ全員の知恵を集めることで、見落としがちな視点が与えら
るはずだ。また、話し合う時間そのものがスタッフの企業愛を高め
くれる。

◆今日の結論:
経営者や経営幹部や「巣ごもり」の時間を第二創業計画づくりに充
るなど、クリエイティブに時間を使おう。