トヨタ自動車のかんばん方式は、ジャストインタイムともよばれ、今必要な部品だけがムダなく供給される仕組みだ。
消費した材料分だけしか発注しないというこのシステムによって、在庫負担やスペース費用を極限にまで削減する。
しかもそれを、社内だけでなく協力会社も含めて実現したものだ。
工場内でも、各工程では後工程に引き取られた量のものしか製造しない。材料の発注のし過ぎや、作りすぎを押さえるために、各工程間では「かんばん」を使って量や時間を指定しあう。それが、「かんばん方式」の名前の由来だ。
今では、効率的生産管理の代名詞にまでなった感がある。
トヨタのこの製造方式が発表された当時、日本国内だけでなく世界の企業が注目した。しかも製造業だけでなく、在庫削減を目指すあらゆる業種業態においてだ。
その代表的な例はセブンイレブンだろう。徹底したデータ管理によって売れている商品だけが、全国の店舗に多頻度小口配送される仕組みを作った。
コンビニエンスストアの当初の宣伝文句は「空いてて良かった」のはずだ。つまり年中無休・24時間営業によって、スーパーが閉店したあとでも買い物できる便利さを売り物にしていた。
ところが徹底した「かんばん方式」によって、もはやスーパーに行けない人のためのお店ではなく、独立した専門的市場を作ってしまったといえる。その裏にあるのは「かんばん方式」だ。
また、最近にベストセラーとなった『ザ・ゴール』(ダイヤモンド社)では、小説風の物語形式をとりながら効率的な生産管理を説いている。
あなたの会社の効率を決めるものは何か。
それは、「ボトルネック」と呼ばれるもっとも効率が悪い部門(個人)の存在があなたの会社全体の効率を決めているというものだ。
最も出来の悪い部門(社員)が効率の足を引っ張っているとは限らない。なぜならもともと負荷を軽くしていることがあるからだ。
某・設計事務所の社長は、そうした視点から社内業務の総点検を指示した。指示はいたって簡単なものだ
「ボトルネックをさがせ!」
そうして分かったことは、何と驚くべき事実だった。それは、設計という本来の業務に問題があったのではなく、「確認申請」と呼ばれる事務作業に人材と時間を奪われていることを発見。即刻アウトソースすることにして効率を上げた。
さて、仮説と提言。
あなたの会社で、「かんばん方式」を取り入れるとしたら何が出来るだろうか?
あなたの会社全体のボトルネックは何だろうか?
あなた個人の効率を妨げるボトルネックは何だろうか?
そこにメスを入れるのだ。
私もこの2週間、ほぼ缶詰状態で「e-comon倶楽部」サイトを作ってきた。スタッフ3名の力も動員して作ってきたが、それでも計画は遅れに遅れた。
サイトを「生産する」ことに全員が熱中しすぎて、生産計画と中間管理が不充分のままパニックのような日々を送ってしまったからだ。
8月上旬はあれだけ余裕があったのに、今の余裕のなさはどうしたことだろう。
この場合、ボトルネックは「私のスケジューリング能力」ということになるのだろう。
最近、『マネジメントコーチ』とか、『プロジェクトマネジメント』の手法が注目を浴びているが、そうした根底には、この「かんばん方式」の精神があるのだ。