伴侶選びは「一目惚れ」、「直感」だった。
そしてA社長は幸せな家庭をつくることができた。そこまではおめ
い話である。だがA社長は自分の「直感」に自信を持ちすぎてしま
ようだ。会社経営でも「直感」頼りが多い。幹部候補者として同級
からB氏を「直感」でヘッドハントし、結果的には半年後に会社を
てもらうことになった。
それだけではない。
「直感」でASEANのC国に会社を作ったはいいが、それもいま
れ流し、撤退を検討せざるを得ない。
「一目惚れ」や「直感」に頼った経営はリスクが大きい。あらゆる
度から検討し、吟味してから決断しなければならない。
ではどれくらい吟味するのがよいか。今日はひとつの定数につい
お話ししよう。
1618年、ジョン・ネイピアによって発表されたことから魔法の
「ネイピア数」が誕生した。
e = 2.7182818284590452353602874713
これは高等数学に登場する定数で、いろんな場面で応用できる。
ビジネスはもちろん、個人の人生でも使える可能性があるのだ。
たとえば結婚相手選び。「ネイピア数=e」を当てはめると、こ
る。
人生で n 人の異性と付き合うことが分かっていて、 n が十分大きい
値なら、最初の n/e 人とは結婚せず、その後「今までで一番いい人」
が現れたらすぐに結婚するべきである、という法則だ。
100人全員に会おうと思っていたら婚期を逸することになるだろ
分かりやすく数字を入れてお話ししよう。
仮にあなたが未婚の男性(女性)だとする。独身のうちに100人
(男性)と付き合ってから最高の相手と結婚したいと思っていたと
る。(100人はあまりに強欲だと思うが、あくまで想定)
最初のn/e人(100人÷2.718=37人)のなかにどん
がいたとしてもプロポーズしてはいけないし、されたとしても断ら
ばならない。
その37人の中で最高だった人をAさんとして、38人目以降、A
える人が現れたらその人と結婚するのが正解、というわけだ。
これは「結婚問題」または「お見合い問題」といわれてきたが、最
はジェンダー意識の高まりから、秘書を採用するときの「秘書問題
として紹介されることが増えているそうだ。
「nの値が充分大きい」ことが前提で、小さいとあまり使えない
仮に5人の異性とつき合ってから結婚相手を決めたいとするなら、
2.718=3人となる。
最初の3人は無条件で断っていたら、残りは二人しかいない。そこ
去最高の人がいる可能性は低い。
「ネイピア数」を数学的に理解しておきたい方はこちらのブログ
読まれるといいかもしれない。
数学が苦手でも、「直感」「一目惚れ」は数学的に危険ということ
けは覚えておいて損はない。
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