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私の「デビル・ハビット」考

キーストーン・ハビットという言葉がある。成功の鍵をにぎる習慣、
とでも訳せばよいだろうか。それさえやれば、他のことも自然にう
くいく要のような習慣のことをいう。人によってそれは早起きだっ
り、冥想だったり、読書だったり、ランニングだったり、朝活だっ
りする。

その反対に、それをやったらすべてがうまくいかなくなる悪習慣
いうものもある。
それを英語で何というのか知らないが仮に「デビル・ハビット」(
魔の習慣)としておこう。
それをやりだすと、時間感覚がマヒし、前後の見境がなくなる悪習
のことをいう。「デビル・ハビット」がおそろしいのは、そのこと
直接的に失う時間や金銭よりも、メンタルの方である。
「なにやってんだよ、オレは」という具合に自責の念にかられる事
「デビル・ハビット」がもたらす真の脅威である。

無論、私にも「キーストーン・ハビット」と「デビル・ハビット
の両方がある。もし両方をつづけて行ったらどうなるのだろうか。
ある休日にそれを実験してみた。
休みなのにいつも以上に早起きし、薄暗いうちからスポーツジムへ
かった。筋トレで汗を流し、スタジオでストレッチしたあと、プー
で一時間泳いだ。帰宅途中にカフェに立ち寄ってヘルシーな朝食を
り、1時間ほど読書もした。

朝から運動と読書という完ぺきなキーストーン・ハビットが二つ
できて、実に爽やかな気分に包まれた。
そして帰宅後は、予定通りに「デビル・ハビット」に手を染めた。
テレビゲームである。特にプレイ時間が長い歴史シミュレーション
ーム『三国志』を始めた私。

結論:
よいことと悪いことを続けて行った場合、あとから行ったことの気
が一日中支配する。結局その日は正午近くから深夜1時まで、13時間ぶ
っ通してゲームをやった。昼も夜も食事はカップ麺で済ませた。
翌日は寝坊し、昼近い出社になった。

私のデビル・ハビットのひとつはゲーム。
夢中になって三日三晩やり続けたこともある。家族があんぐりして
る。「よくそんなに続くね」「目が痛くならないの」「視力が落ち
よ」「仕事にもどって」・・・、いろんなことを言われる。
たしかに目はひどく疲れるが、そんなことが気にならないほどゲー
はおもしろい。いや、面白かった、というべきか・・・。

19年前にメルマガを創刊したころ、ゲームに夢中になりすぎて仕事
を休んだり、ひどいときにはメルマガを休刊したこともあった。
読者や広告主から「今日は配信がないの?」と苦情や問合せが入っ
ことも一度ならずあった。
のめりこみやすいタチの私にとってゲーム機器の存在はゲーム危機
なり、やがて経営危機、家庭危機にもつながった。
「もうやめよう」と据え置き型のゲーム機は10年以上前にすべて処分
した。

そんな私がこの夏休みに「プレステVR」と専用ソフトを何本か買い
たくなった。私の「デビル・ハビット」ぶりを知っている家族は全員、
購入に反対した。だが、いまの私は昔のようにゲームにのめりこむ
うな未熟な私ではないと家族を説得し、購入した。

VRはすでに「Oculus Go」をもっているが、国産ゲームもやってみた
くなりプレステVRを選んだ。
6月に出たばかりの新作ソフト「みんなのゴルフ VR」は、以前からの
「みんなのゴルフ」ファンにとって待望久しかった作品。私も少な
らぬ思い入れがあるだけに、これをやりたくて買ったといってもよい。
「ゴルフ場まで0ヤード」のキャッチコピーが大げさには感じられ
いリアリティ重視の本格ゴルフゲームになっていて、ついにゲーム
ここまできていたのか、と感心させられた。

もう一本のソフト「パワプロ2018(VR対応版)」もよくできている。
こちらもプロ野球の実在球場がリアルに再現されており、おもわず
り声をあげてしまったほどだ。

今年の夏休みは、こうしてほぼ10年ぶりにゲームに興じたわけだが、
連日、1時間もしないうちに電源を落としている自分がいる。
これは、精神的に大人になったからなのか、それとも単に体力と根
がなくなったからなのか、真の理由はまだわからない。
だが間違いなくいえることは、今の私にゲームは「デビル・ハビット」
ではないということだ。