平成26年2月に施行された中小企業庁の「経営者保証ガイドラ
によって、一定の要件を満たせば社長の個人保証を解除したり、減
するよう国が定めた。
金融機関によって温度差があり、自主的かつ自律的なガイドライン
ので拘束力はない。だが金融機関には遵守が求められており、私も
囲でも、それにまつわる話題が増えてきた。
「武沢先生、うちも個人保証が外れました」とH社長。
つい最近、N銀行にある数千万円の借入金の個人保証が外されたと
こちらから頼んだわけでなく、銀行側から「外しましょうか?」と
ってきたそうだ。会社の力が認められたわけである。
H社の自己資本比率は20%を下回っており、全国平均の半分し
リーマンショック直前には70%あったものが2期連続の大幅赤字
にマイナス20%にまで転落した。一時は倒産も覚悟したが、その
経営計画をつくり、スタッフ教育にも力をいれて40%まで回復し
一昨年、配送センターへの投資でふたたび自己資本比率は10数パ
ントに落ちていたが、このタイミングでの個人保証外しにH社長も
の表情である。
ちなみに「日本政策金融公庫」など政府系金融機関における経営
の個人保証の状況がこちら。データは、融資金額に占める個人保証
依存しない融資割合。
平成26年度 24%(全体の4分の1が個人保証なし、という意味)
平成27年度 32%
平成28年度 50%
平成29年度 52%
平成30年度 53%(半分以上が個人保証なしになった)
政府系金融機関においては個人保証外しが着々と進展していること
あきらかだ。
H社長の場合、経営計画書を中心にした計画経営がきちんとでき
る。社長の人柄も誠実で勉強熱心で浮ついたところがひとつもない
「事業性が評価されたのだと思います」というH社長だが、私はそ
りも経営に向き合う一貫した真摯な姿勢が評価されたのだと思う。
反対になかなか個人保証が外れずに、新規の資金調達が思うに任
ない会社もある。そういう会社は銀行と交渉し、「どこがどのよう
変われば個人保証が外れるか」を聞いてみるとよい。
たとえば、
・信用調査会社の評点を50点以上にして下さい
・3年続けて経常利益を5%以上出してください
などと具体的に言われる場合がある。だったら、その条件を経営計
書に組み入れ、銀行に対して有言実行すればよい。
もし銀行が具体的なことをなにも言わず、お茶をにごした場合、
れはあなたの言っていることや考えていることが銀行に伝わってい
い証拠だ。あるいは人柄が信用されていない可能性もある。
「どうしたら個人保証が外れますか?」と聞くことには勇気がい
が、やってみる価値はある。