その他

上司の残業と部下の離職の関係

昔から「職住近接」、つまり自宅と職場は近い方がよいと言われ
きた。それだけ仕事に打ち込めるからだ。
いまでも「職住近接」が望ましいと言われているが、それは都心の
勤・帰宅のラッシュが関係している。

東京のラッシュ時には乗車率が180%を超える路線が11路線も存在し、
通勤者に多大なストレスを与えている。
国土交通省は職場の近くに住居を構える事で通勤時間の短縮、満員
車の解消を目指し、職と住の均衡した都市構造の形成を推進してい
そうだ。
ラッシュの緩和は国に任せるだけでなく企業もひと役買う必要がある。

あるリフォーム専門店には20ぐらいの支店がある。働き方改革をす
すめているその会社の人事部が支店別の離職率を計算してみた。
すると次のような意外な三つの事実を発見した。

1.離職率の多い支店ほど社員の残業時間が多い。
2.社員の残業時間が多い支店は、支店長が率先して長時間労働し
いる。
3.つまり、支店長の長時間労働と社員の離職率は正比例の関係に
る。

支店長が夜遅くまで帰らないから支店社員も帰れない。平均して
ると、支店長が仕事を終えるのは毎晩22時。社員もそれにつられて21
時から22時の間になる。本人はもちろん、家族のストレスは募る一方
で、それが離職につながる。残業しない支店長は遅くても20時、早い
日には19時台には帰ることがわかった。

そこで人事部では残業の多い支店長にあるお願いをした。それは
残業ではなく早出に切り替えてほしいというものだった。どうして
早出できない支店長には、休日出勤(在宅勤務可)で残業を減らし
ほしいと頼んでみた。

支店長は協力した。するとどうだろう。22時に帰っていた支店長が
20時前後には帰宅する(ようにみえる)。すると部下もそれにあわせ
て残業が減ったというのだ。
残業とちがって上司の早出や休日出勤は部下の目にみえない。みえ
いところで起きていることには部下も反応のしようがないのだ。

気を良くした人事部は全店の支店長にこんな呼びかけをしている
・・・
支店長の皆さん、なるべく残業をしないで早く帰るようにしてくだ
い。どうしても残業が必要な場合でも20時を超える分については、在
宅勤務かお近くのシェアオフィスまたはカフェなど、部下の目に届
ないところで仕事をしてください。その経費は会社が負担します。
・・・

私はこの話をきいて面白いとおもった。
根本的な「働き方改革」になっているとはおもえない。あくまで皮
的に過ぎないが、効果があるのなら今後もやるべきだし、私たちも
似してよいとおもう。