「とくに書くことが思いつかない。よって今日のマガジンはこれにてオシマイ!」
と書きたくなる日が何度かある。実際にそんな日があっても良いかなと思う。だが、ちょっと待て。
会社経営でも、同じような場面に遭遇することがあるのだ。
・毎日の朝礼のネタがないので開催頻度を減らした
・毎月の社内報の記事がないので不定期発行にした
・幹部会議がマンネリになっているので開催を中止した
・・・etc.
ネタがないので中止することは簡単だ。しかし、その前にネタ切れの心理を考えてみよう。
ネタが新鮮にこしたことはない。話題が豊富にこしたことはない。しかし、我々は新聞社ではない。いながらにして新しいニュースや話題が飛び込んでくることはないのだ。
したがって、慢性的なネタ不足は当然のことであって恥ずかしいことではない。
むしろ恥ずかしいことは、氾濫と混乱だろう。
三省堂国語辞典によれば、氾濫とは、好ましくないものがはびこること、とある。
混乱とは、いろいろの物事が一緒になって、訳がわからなくなること、とある。
企業経営にあっては、この氾濫と混乱を避けねばならない。なぜなら、現代社会はスピード社会であり、ひとつの情報のもつ価値が相対的に低下している。よって、たえず新しい情報を追い求める性向が生まれるからである。
社会の出来事のようなニュースはそれでも良い。しかし、それに混じって経営哲学や理念、それに方針なども同じように氾濫し、混乱しては困るのだ。
江戸時代の武士道の基本は、四書五経の素読から始まる。「大学」「中庸」「論語」「孟子」の四書と、易経(えききよう)・書経・詩経・春秋(しゆんじゆう)・礼記(らいき)の五経だ。平易な訳はついていない。解説してくれる先生がいるわけでもない。文字通り「読書百遍、意おのずから通ず」というわけだ。
読書百遍、意おのずから通ず、という読書法のすすめではない。要するに反復することの大切さを強調したいのだ。
本当に大切なことは重複を恐れてはならない。くり返しくり返し聞き、読み、実行したものだけが自分のものになる。くり返ししないものは脳ミソの片隅に残っているだけのことだ。
くり返し申し上げる。本当に大切なことはくり返さなければならない。メッセージをシンプルにして、くり返そう。経営者にとって、話題が豊富なことは決して自慢にならない。知識人ほど危険だ。メルマガ作家にとってもそれは同じだろう。