私にとって今回の鶴岡/酒田旅行の白眉は土門拳記念館である。
最上川急流下りも鈴政の寿司も舞子の踊りもすばらしかったし、竹
10代の美空ひばりが楽しそうに寝そべる写真には次のような土
「彼女は一時間以上遅刻してきた。しかもあとの予定が決まってい
土門拳は報道写真家である。完全主義者の写真家としても有名で
歌人・斉藤茂吉が大好きだというだけあって文学的才能にも恵まれ
自分が撮りたい人物を毛筆で襖に書く。一人撮るたびに、襖を貼
ついにあこがれの歌人・斉藤茂吉翁の写真を撮ることになった。翁
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「先生、ぼくは酒田です」
と呼びかけると、
「おお、それはおなつかしい。そうですか、そうですか」
と、まるで古い知己にめぐりあったように茂吉先生は喜んだ。
「先生の故郷は最上川上流の東村山で、ぼくは最上川河口の酒田港
それにしても、ぼくは長い間会いたい会いたいと思っていた人の病
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このときの茂吉の写真は、無欲の老爺が膝に両手をそろえてちょ
正岡子規を祖とし、写実的・生活密着的な歌風をもつアララギ派。
その中心人物である斉藤茂吉を好んだ土門。二人の一期一会のシー
写真はむごい。現実を情け容赦なく写しとる。
「筑豊のこどもたち 弁当を持ってこない子・1959」と題されたその写真は小学校の弁当の時間。生徒の多くは夢中で弁当を頬ばってい
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炭鉱失業者のこどもは弁当を持ってこられない。昼食時間の間、彼
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芥川龍之介が一番小説を書かせたい人として土門拳の名をあげた
土門はそれほどの名文家なのだが、私も思わずうなった文章がこち
「走る仏像」と題されているが、まずはお読みいただきたい。
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仏像は静止している。伽藍は静止している。もちろん境内の風景は
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情景が思い浮かぶ。しかも静的なものではない、動的な情景が思
ただでさえ凄い写真にこんな文章を添えられたら、他の写真家はた
最近はデジタル処理でいかようにも画像加工ができるようになった
さて、あなたも東北方面にお出かけの際は、鶴岡/酒田の庄内に
酒と魚がうまいのはもちろん、様々な歴史遺産や自然遺産がある。
それに土門拳の記念館がある。
★土門拳記念館 http://www.domonken-kinenkan.j