間接的に聞いた話なので信憑性に疑問はあるが、名古屋のある建設会社が現場技術者の募集をかけたところ応募はゼロだった。
ところが翌月、同じ媒体をつかって事務員を募集したところ300名の応募があったという。会社に応募があるのではなく、職種に応募があるということか。それにしても0対300とは何たる差。
人を採りたいが採れない会社が増えている。今の雇用情勢をみるかぎり地域や職種などの雇用ミスマッチ分を除けば、実質上の失業者はゼロに近いという。
「仕事がない」という人はほとんどいない状況になっているわけだ。
「だから応募がない」と嘆くのは普通の会社。良い会社は、どんな雇用情勢のなかでも欲しい人数を集めるものである。今やっている仕事を辞めさせてでもこちらに引っ張るのだ。
ウォールストリートジャーナルによれば、米アマゾン・ドット・コムが来る8月2日に全米で大規模な就職説明会を開き、5万人を新たに採用するという。
就職説明会は自社倉庫など全米の十数カ所で開かれる。アマゾンがこの採用計画を実行すれば、目標期限とする2018年半ばには米国内の社員数が30万人前後となり、2011年時点の3万人から10倍に増えることになる。
仕事があるから雇用が必要になるわけだが、雇用を生み出すような気概と知恵が経営者に求められている。
よくいわれるように、経営者の社会的責任のひとつは「雇用の増大」なのだが、ジェフ・ベゾスはその点において立派に役割を果たしている。もし彼がいなければ、30万人の人たちが仕事を失っていたからだ。
そしてこの30万人という数は、日本最多の社員数を誇るトヨタの34万人(連結)に肉薄する規模でもある。
さて、30万人という社員数は全米でみてみるとおおむね10位前後となる。一位はウォルマートで220万人で二位のマクドナルド44万人の5倍の雇用を誇る。
アマゾンとウォルマートはビジネスにおいてもライバルだが、雇用の面においてもこれからライバル関係になっていく可能性がある。
経営者は雇用を生み出すような事業を考えていこう。