★テーマ別★

K社長の人事ミス

社長の人事ミスによって会社が傾くことがある。

東京のあるアパレル会社には数人のデザイナーがいる。デザイナーがデザインした服をベトナムやインドネシアで作り、日本で販売する。
ところが最近販売成績が振るわず、前年割れの業績が数年続いていた。

そこで社長の K さん(66)は、自称「アパレルマーケティングコンサルタント」の U 氏(50)と顧問契約を結ぶことにした。
顧問契約とはいっても実質上の「専務業」を任せたのだ。K社長の会社には長男の K 常務が働いているが、その上司のポストを U 氏に与えたのである。会社にはほとんど出社しないが、メールや電話で連絡がいつでもとれるようになっていた。その人事が大きな問題を引き起こすことになる。

まず、U 氏に大きな権限と経費決裁権を与えたことが最初の誤りだった。製造工場がある外国への飛行機移動はファーストクラス、現地では最上級のホテルを利用した。長男の常務がそのことを問いただすと、「常務、こんな小さい経費で目くじら立ててるヒマがあれば、大きく稼ぐ方法を考えて下さいよ。あなたは経営者なんでしょ」と聞く耳をもたない。K 社長も U 氏の働きに期待していたので、経費のことは黙認した。

話を端折るが、それから2年近く経過した。
U 氏が知人の服飾デザイナーにデザインさせ、ベトナムで作らせた服はまったく売れなかった。創業以来初の赤字決算をだした。本人も少し責任を感じたのか、ファーストクラスからビジネスクラスに落とすのに同意した。だが、何かと口実をつくっては今の高額な顧問契約を延期しつづけ、「できれば御社の仕事にもっと時間を割きたいから」と、契約金額を増額させる提案を K 社長に持ちかけている。
実際には、もうすこし込み入った人間関係ドラマがあるのだが、それは割愛する。

さて、このエピソードにおいて、K 社長の誤りはどこにあるとあなたはお考えだろうか?
「K 社長は悪くない。悪いのはコンサルタントの U 氏だ」という人もいるだろう。「それよりも K 社長の長男が頼りない」という人もいるだろう。

だが、会社で起こることの最終責任者は社長である。都合の悪いことはすべて社長の責任だと考えたほうがよい。

この場合、社長は人事を誤ったと考えるべきだと私は思う。

コンサルタントに対して一時的に肩書きを与えて社内で働いてもらうことにも疑問があるが、それ以上に大きな問題は、「外から来た新参者に新しい大きな仕事を任せた」ことが大問題である。

新参者に大きな仕事を任せるのはリスクが大きすぎる。ではどうすべきだったのか。

<あすにつづく>

 


Warning: Trying to access array offset on value of type null in /home/xs470582/e-comon.jp/public_html/wp-content/plugins/amazonjs/amazonjs.php on line 637