「この町で生まれ育ちました。私はこの町が大好きです」
そう言って地元を離れようとしない起業家がたくさんいる。嫁の実家もこの町ですし、子どもも地元の学校に通わせています。お客さんもすべてこの町ですから。地元にこだわる理由を聞かせてくれた。
積極的に自分でそれを選んだのであれば、それもひとつの立派な生き方だと思う。だが、それしか選択肢がないと思い込んでいないだろうか。
「生まれた場所=生活する場所=仕事をする場所・稼ぐ場所」という古い時代の固定観念に縛られている人は多い。
交通網が発達し、世界中がネットでつながった今、地元を一歩も出られないはずはない。
私(武沢)は日本が大好きだが、日本が世界一素晴らしいとは思っていない。名古屋も好きだが、名古屋が日本一素晴らしいとも思っていない。
この町かあの町か、日本か海外か、といった二者択一ではなく、目的によって選ぶのが賢明な生き方だと思う。今はそれができる時代なのだ。生活の基盤は日本に置き、仕事の基盤は海外に置く。あるいはその逆でもいい。ずっとそう思っていたが、私より更に上手がいた。
今回のフィリピンツアーでハロハロアライアンスの鈴木社長が、ウエルカムセミナーで我々にこんな提言をしたのだ。
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・お金を生む場所
・仕事をする場所
・生活をする場所
同じである必要はありますか?
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なるほど、三つとも選べるのだ。
たとえば、
・生活をする場所は日本、
・仕事をする場所は東京とイギリス、
・お金を生むのはフィリピンのコンドミニアムとアメリカ株、中国株。
そういった選択が可能な時代である。
それには人的ネットワークが必要になる。自分独自のライフスタイルを実現するには、どのエリアにどんなチャンスがあるのかを知る必要がある。インターネットで情報を得ることはもちろん、世界中に人的ネットワークを広げている「和僑会」のような交流会に入るのも良いことだと思う。
私がハロハロの鈴木さんと出会ったのも和僑会の世界大会 in 札幌だった。その場で2月の名古屋和僑会でのスピーチをお願いし、2月の名古屋和僑会で4月のフィリピンツアーをオファーした。
幸い鈴木さんは快く引き受けてくださった。
「ハロハロアライアンスグループ」は日本・フィリピン双方の財閥系企業とアライアンスを結び、ネット通販、不動産、観光、学校、金融などの事業に参入して急成長している会社。グループ社員数は400
名を超え、大半がフィリピン人。
「私たちは日本の会社ですが、利益も雇用もフィリピンに還元したい」(鈴木社長)と、日本人は主要な部門のマネジャークラスに限定しているそうだ。
今回の視察ツアーには私を含めて13名が参加。「ハロハロ」さんに3泊4日のコース日程をすべて組んでいただいた。鈴木社長や日高マネジャー直々にエスコートいただき、ぜいたくな時間を過ごすことができた。
以下、今回の視察報告をするわけだが紙面も乏しいので、まずは余談。
フィリピンのマニラ国際空港は数年前まで世界最悪の空港に2年連続で選ばれていた。政府も処理能力を超える利用者があることを認め、ターミナルを第1~第4まで順に増やしていった。
それでも私が利用した第2ターミナルの出発ゲートでは、キヨスクでコーラを買うのに40分並ばされるほど、今なお大混雑。
「これだからダメなんだよ」と後ろの方から別グループの日本人男性。
私は、「これだからフィリピンは面白いんだ」と思った。すべてにおいて未完成、未成熟なのだ。日本ではあり得ないことが起きている。
この大混雑を受けてフィリピンでは、新しい国際空港の建設計画が動き出している。かつての香港や上海でも新・国際空港登場は、その後の急成長を暗示していた。
日本でも成田に新空港ができてから更に日本は栄えた。つまり新・国際空港建設の話は、国として「買い」のタイミングであることが多いのだ。
<明日につづく>