ここはフィリピンのちょっと古いカラオケボックス。
私が都はるみと岡千秋の『浪花恋いしぐれ』を選曲したら、1番のラストで「ど阿呆、春団治~」と熱唱するところなのに、モニター画面は「ど阿呆、春団地」と表示されている。
「え、はるだんち」と拍子抜け。しかも、そのあと、肝心のセリフがまったく表示されない。
フィリピンのカラオケメーカーが間違えたのではない。この店のカラオケ映像はすべて韓国製。ソウルや釜山などでロケされ、韓国人の若い俳優が登場する。「はるだんち」にもなろうというものだ。
カラオケだけでなく、韓国映画や K-POP などが席巻する東南アジアの国々にとって、クールなのは日本ではなく、韓国なのだ。ファッションも家電も食べ物までも韓国を見ている。
日本だって決して手をこまねいているわけではない。
「クールジャパン」戦略としてアニメやマンガ、AKB などの POP アイドルや和食、伝統工芸などを売り込んでいるが、経済効果という点で韓国の後じんを拝している。海外に出るといつも思う。
「がんばれ!ニッポン」と。
今回のマニラ視察ツアーでは、「ハロハロアライアンスグループ」(鈴木 廣政社長)の引率で、カジノホテル、コンドミニアム、ショッピングモールなどをご案内いただき、昨夜、帰国した。
同社はフィリピンで最も成功している企業と言ってよい。7年前に鈴木社長が単身でマニラに渡り、いまのグループ企業を作り上げてきた。
(グループ社員数400名)
私としてはメイド・イン・ジャパンが気になるが、家電製品売場でそれをさがすのはかなり困難だった。高級店に行けばあるのかもしれないが、マニラ市民の多くが利用するモールで売られているのは韓国や台湾のメーカーばかり。
コンドミニアムのモデルルームにあるエアコンやテレビ、冷蔵庫なども日本製品をみることはあまりない。(ソニーのテレビと三菱のエアコンを一回ずつ見つけただけ)
「メイドインジャパンは高品質で高単価」というイメージで避けられているのならまだ分かるが、そういうイメージでもない。単に、存在が知られていないだけなのである。
そうした現状があるとは聞いていたが、今回のフィリピン訪問でそれをまざまざと実感した。
ハロハロアライアンスグループ(以下「ハロハロ」)が経営するレストラン「ムービースター・カフェ」では日本やハリウッドの人気キャラクターがステージ上で唄って踊ってショーを楽しませてくれる。
30分に一度のショーはその都度演目が変わるので、おいしい料理とお酒を心ゆくまで楽しめる。客単価は2,000~3,000ペソ(約8,000円)と決して安くはないが、店内はいつも満席。家族の誕生日や記念日にみんなが行きたがる特別なレストランというポジションを得ている。
「僕らでやれる限りのクールジャパンを表現するためにこうしています」とハロハロの鈴木社長。
★「ムービースターカフェ」のレポートブログ
→http://gkgk.info/philippines/3413/
今回は「ハロハロ」の鈴木社長や日高マネージャーなどのエスコートで充実した四日間を過ごすことができた。日本から同行してくださった経営者の皆さんとも仲良くなることができ、感謝している。
二日目の夕方、私は別行動をした。
フィリピンの日本人社長 Aさんとイタリアンのお店で会食したのだ。
フィリピンは国民の大半がカトリック教徒のため、イエス・キリストの命日と復活祭にあたるこの数日は国中がお休みする。当然、モールやレストランの多くも休業となる。
「大丈夫です、営業中のお店を知ってますから」と A さんに連れられたのは今回の宿、(ホテル・ニューワールド・マカティ)から徒歩数分の「イタリアニーズ」という店だった。「結構、本格的なピザ・パスタを食わせます。ワインやサラダだって手を抜いてませんよ」という触れ込みだったが、まさしくその通りでとても美味しかった。
会食は20時で終了。もう一軒どこかへ行きましょうとなった。
A さんは出来たばかりのカジノへ行きませんかとすすめてくれたが、私はマラテでのカラオケを希望した。
「女性が接待してくれるカラオケですか」と言うので、私は日本にあるカラオケボックスを希望した。すると A さんはウーバーを呼んでくれて隣町のマラテに連れて行ってくれた。
(マニラで「ウーバー」がどれだけ盛んかはまた改めて書く)
マニラでのナイトスポットといえばマラテだった時代がある。ただ歌舞伎町的なところでもあり、日本人が犯罪に巻き込まれるケースも多い。A さんも私に「スキを見せないでください」と忠告した。
私はカラオケが希望なのではなく、マラテを一度歩いてみたかったのだ。わずか10分ほどのウォーキングだったが、よくもわるくも歌舞伎町的であることを実感した。
そのマラテで入ったカラオケボックスが「ど阿呆、春団地」の店だったわけだ。
今回のフィリピンツアーの感想を一言でいえば「すごい」。チャンスに満ちている。経済の発展と麻薬・暴力の追放によってフィリピンの治安は急速に良くなっている。経済発展を見込んで先見性のある世界の投資資本が続々と入ってきている。
最初は「フィリピンは怖いから僕はツアーに参加しません」と言っていた S 社長も、今回の最終日に「全然イメージと違っていました」と自説を撤回した。
明日は、もう少しビジネス的な観点でフィリピンレポートを書いてみたいと思う。