Rewrite:2014年3月27日(木)
友人のZ氏とナポリピザの美味い店に行った。彼はビジネスコンサルタントである。つい先ほどまで、同業者の会合に出席していたようで余韻さめやらぬ顔で私にこう言った。
「コンサルタントってどうしてみんな一癖も二癖もある人が多いんだろうね。まるで猛獣みたい。個性が強すぎて、しかも自説を曲げないから、まとまるものもまとまらない」
その方の年齢にもよるだろうが、たしかに個性的な人が多いのは事実だと思う。何しろ、お客(経営者)が個性的であるからして、コンサルタントも個性的でなければやってゆけないのかもしれない。ピザとビールをオーダーしたあと、私が半ば冗談で「コンサルタントで個性を抑えて仕事をしているのは私ぐらいでしょ」と水を向けた。するとZ氏は、「そうそう、それ。コンサルタントの共通点は、みんな自分が普通だと思っていること。いったい武沢さんのどこが普通なの?」という。
別の日、神田の中華で夕食会があった。羊肉とワインが美味い店だ。その会にはコンサルタントのコンサルタントをしている五藤万晶さん(ドラゴンコンサルティング代表)も参加していたので、その話をしたところ、こんな言葉が返ってきた。
「コンサルタントの方を”猛獣”というのはいかがなものかと思うが、もしその言葉を借りるなら、私は 20年間猛獣使いのような仕事をしてきた」
ちなみに五藤さんは大手コンサルティングファームに所属して日本中のコンサルタントと毎日会って出版やセミナーをプロデュースする仕事をしてきた。ある意味ではコンサルタントの目利きができなければならないし、猛獣使いよろしく上手に相手の良い面を引き出していかねばならない大変な仕事だったと推察する。
五藤さんの言葉がつづく。
「はた目には大変忙しそうにみえる。たしかに本当に忙しい日もあるでしょう。しかし、売上や利益がまったく伴っておらず、本人と家族は明日のことが不安でしようがない。でもそれを表に出さずに元気にふるまっておられる。私はそうしたコンサルタントの方をたくさん見てきました。残念ながら本人が錯覚しておられるのです」
美味そうな料理が出てきたが、何だか他人事ではないので質問してみた。
「錯覚しているって、たとえばどういうこと?」
五藤さんは即答した。
1.セミナーや講演をたくさんやっていけば、いつかは本業(コンサル)も忙しくなるだろう、という錯覚。
2.たくさん本を書いて知名度をあげていけば、必ず業績にむすびついていくであろう、という錯覚。
3.ソーシャルメディアでたくさんのファンや「いいね」が集まるようにすれば仕事に直結するであろう、という錯覚。
そんなことばかりを 5年も 10年も、あるいはそれ以上延延とやっていながら、収入はまったく伸びていない。それを錯覚といわずして何という、と五藤さん。経営者の方が必要としているすばらしい経験や技術、知識があるにも関わらず、それが届いていない。知名度をあげようと躍起になってしまって肝心のコンテンツ作りがおろそかになっているコンサルタントが全国にたくさんいる。実にもったいない、という。
私なりの理解だが補足してみたい。セミナー講師や講演家を目指すのならそれに絞ればよいし、執筆家 1本でやっていくのならそれもまた良し。ただ、コンサルタントとして経営者に専門サービスを提供しようというのであれば、キラーコンテンツ(競争力ある専門サービス)を持たなければ話にならない、ということだろう。
五藤さんの著書はこちら。
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