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マサカという坂を本当に体験して

「人生には三つの坂がある。上り坂、下り坂、そしてもうひとつがマサカという坂です」というのを最初に言いだしたのは誰だろう。
小泉さんではない。その前にどなたかがいるらしい。
渋谷には真坂(まさか)という坂があるらしいが、私と家族もマサカという坂を先週みた。

1月20日(金)、自宅に空き巣が入ったのだ。
晴天のへきれきとはこのことだ。
マンション(1階)のベランダから侵入し、現金などを奪って逃げた。
空き巣とはいっても正確には、息子が家のなかにいたので「居空き」(家人がいるときに泥棒が入ること)ということになる。
賊は空き巣のつもりで入ったのだろうが、子ども部屋にいた息子が不審な物音に気づき大声をだしたところ、脱兎の如く逃げたようだ。
ベランダの窓を割っての侵入だった。ワイヤーが通った頑丈そうなガラスなのに、鍵のある部分だけがきれいに割られていた。プロの仕業だろう。

すぐに警察に通報しパトカーなど3台の警察車両が自宅前に集まった。
周囲はものものしい空気に包まれた。警察官、刑事、指紋採取などを行う鑑識など10名超の捜査官が家にあがった。
金曜日の午後6時、出入りを迅速にするために玄関を開けはなって捜査と聴取が進む。寒さと怖さと緊張で家人の声が震える。
運悪く、ピストルのプラ模型がタンスの上にあったが、警察は、そうしたものには目もくれない。あくまで被害の確定と家族からの証言あつめ、および家人の指紋採取に専念する。

私が帰宅した22時ごろにはすべてが終わって普段の空気が流れていた。だが割られた窓ガラスだけはそのまま。修理は明朝になるという。
応急処置で段ボールでふさいで眠ることにした。

「誰か厄年なの?」と長男が聞く。
なるほど、アンラッキーな出来事だから、厄年の人が家にいるのか?という意味だが、私はそのようには考えない。
盗賊に入られ、息子がニアミスしているのに危害が加えられず退散してくれた。しかも被害額は10万円に満たない金額だったということは不幸中の幸いである。プロの泥棒が嗅覚を働かせて、この家にはお宝がありそうだと感じてくれたわけでもある。この家はスキがあると思われたのはシャクだが、それもこれも引きの強さであって、悪いことではない。

ただ、今度はやられないようにしたい。セキュリティー対策を強化する。マサカという坂が本当にあることが分かったからには、二度とマサカは使えない。今度やられたら笑われても仕方ない。
来れるものなら来てみろ、という気概で、真田丸のように要塞化するつもりだ。