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ルール違反の形跡

ケリー・マクゴニガル氏の『スタンフォード自分を変える教室』の中に「ルール違反の形跡が自制心を低下させる」というメッセージがある。他の人がルールを無視して好き勝手にふるまっている様子や、その痕跡を見ただけで、周囲の人も衝動を負けやすくなってしまうという心理である。

入社2年以内の若いスタッフが20人ぐらい揃っている会議に出た
私が「ルール違反の形跡」という話をしたあと、あなたに思いあたることは何かと尋ねてみた。するとこんな意見が出た。

1.一人の社員の遅刻が会社全体のムードをこわしている
・・・たしかにその通り。遅刻していない人に対してまで、「私は遅刻常習者がいるような組織に属しているんだ」と思わせ、全員のセルフイメージを下げてしまっている。

2.日報を書かない人がいて、上司がそれをとがめないと自分も日報を休もうと思ってしまう
・・・やらずに済むのなら私もやめよう、と思うのは人間心理。
ルールは廃止されるまで皆で守る、という規律の文化をつくることがリーダーにもメンバーにも求められる。

3.乱雑に散らかったオフィスにいると自分もゴミを放置してしまう

反対に、周囲の良いことが自分にもプラスの影響を及ぼしていることは何かと尋ねてみた。

1.あいさつ。先輩の何人かが毎朝元気よくあいさつされるので、いつしか自分も率先してあいさつするようになった。

2.笑顔。とくに内勤の女性社員は笑顔でいるように教育されているので、外回りから帰ってきた男性社員も自然に笑顔が出るようになっている。

3.禁煙。数年前は半数近い男性社員がタバコを吸っていたが、3年前にヘビースモーカーの役員が禁煙に成功してからは一気に禁煙成功者が増えていった。いまでは社長以下、数人の社員しか喫煙者はいなくなった。

周囲がどうであろうとも、自分がやるべきことをやる人もいる。だが、良いことも悪いことも周囲に感染しやすいのも確かなこと。誰かが悪いことをしているとそれに引きずられることが多いのだ。
リーダーが極端に遅刻や怠慢を嫌うのはほかでもない。たった一人の行為がチーム全体の空気をよどませるからである。

あなたの会社でも話し合ってみよう。