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バフェットの教訓

ウォーレン・バフェット氏(86歳)とランチをする権利が eBay で毎年オークションにかけられている。スタートは2000年からで、初年度の落札者氏名は明かされていないが、落札額は2万5000ドル(275万円)だった。2001年は1万8000ドル(198万円)。翌年が2万5000ドル(275万円)で、その翌年の2003年から落札額は急上昇し始める。ヘッジファンド運用者のデビッド・アインホーンが25万5000ドル(2,805万円)で落札し、翌2004年はシンガポールのジェイソン・シューが20万1000ドル(2,211万円)で落札。2005年が35万1100ドル(3,862万円)、2006年は62万100ドル(6,821万円)。今年は落札額が過去最高の345万6789ドル(3億8,000万円)となった。一回のランチのお値段である。落札者はニューヨークのステーキレストラン「Smith & Wollensky」でバフェット氏と会食し、7名まで同伴者を連れてくることができる。

86歳というバフェット氏の年齢からみて、いつこのイベントが打ち切られてもおかしくないが、バフェット氏はこの収益をすべてチャリティに回しており、チャリティのためにもやめられないのだろう。それにしても氏の年齢でステーキレストランを指定するのもすごいところである

バフェット氏は11歳で株式投資をした。姉のドリスと共に、シティ・サービスの株を1株38ドルで3株購入したのだが、その後、1株27ドルまで下落してしまった。バフェット達は1株40ドルまで値を戻したところで売却したが、シティ・サービス株は長期的に上昇し続け200ドルになった。この経験からバフェットは忍耐と長期保有の大切さを学んだと述懐している。ほろ苦い体験ではあったが、学習効果はバツグンで、その後75年で10兆円の個人資産を持つにいたった。

あるとき、専属パイロットのマイク・フリントにバフェットはこう尋ねたという。「君には僕のプライベートジェットのパイロットになることより大切な夢があるんじゃないのかい?」
するとマイクは、「はい、実はそうなんです」と正直に答えた。
「だったら君に教えよう」とバフェットは次の3つのステップを教えた。

第1ステップ:書き出すこと
バフェットはまず、仕事で成し遂げたいと思っている目標を25個書き出すよう指示した。
第2ステップ:選ぶ
リストを見直し、とくに重要な5個を丸で囲むよう言った。どんなことがあっても5個を超えてはならない。
第3ステップ:捨てる
選ばなかった20個の目標は目に焼き付け、今後はそれらに絶対関わらないと決める。気が散って大切な目標に集中できなくなることを防ぐためである。

「選択と集中」という言葉は誰でも知っているが、実践している人は少ない。選択しても残りのものを捨てないのだ。マイク氏も「なるほど」と分かったような顔をしていたので、バフェットは気になって質問した。
「君は残りの20個をどうするつもりだい?」
するとマイクは「ええ、まずは5つの大切なことに集中すべきだと分かりましたので、他の20個については優先順位を下げて、週末か連休などをつかって少しずつ進めていこうかと思います」と。

君は全然わかっていないね、という顔をしてバフェットはこう告げた。「それではダメなんだよ。まず5つの目標を完全にやり遂げなさい。それまでは20個の存在すら思いだしてはいけないのだよ」

レオナルド・ダヴィンチは、絵画、彫刻、建築、音楽、科学、数学、工学、発明、解剖学、地学、地誌学、植物学など様々な分野に目を見張るような才能を発揮し、「万能人 (uomo universale)」 などと呼ばれた天才だ。だが、今日においても世界に残る業績は絵画の分野に限定されている。天才ですら一つなのだ。

天才ではないかもしれない私たちは5つでも充分多いかもしれないのだ。