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フィンテック(Fintech)

Finance+Technology= フィンテック(Fintech)

融資業務に革命が起きている。そのさきがけとなったのが米国企業の「カベージ(kabbage)」だ。中小や個人企業にネットをつかって融資を行っている。

融資といえば従来は銀行が行うものだった。だが「カベージ」は銀行ではない。あくまでネットベンチャーである。どうしてネットベンチャーが銀行業務のなかでも特に重要な「融資」が行えるのか。
それこそがまさに Finance+Technology= フィンテック(Fintech)なのである。金融業務に最新ネット技術を加味すれば、誰もが銀行業務を行える世の中になった。

従来、銀行は独自の与信情報システムをつかって企業や個人の与信管理を行ってきた。企業向けの与信管理では厳密に企業をポイント計算し、融資申込みがあると審査会議にかけて融資の是非を議論するのが一般的な手順である。
ところがアトランタのフィンテック企業「カベージ」はそんな常識をくつがえした。独自の与信システムを開発したのだ。

それはAmazonやYahoo!などECサイトでの支払い履歴や、ペイパルやスクエアなどの決済履歴などのデータを収集し、人工知能がそれを解析して融資審査を行う。その結果、銀行で数週間かかっていた融資判断がわずか6分でできるようになった。しかも無人で行う。銀行が数週間費やす仕事を6分で!それがフィンテックだ。

こうしたフィンテック企業による企業融資や個人融資は「カベージ」以外にもたくさんある。やがて日本にも海外フィンテックが黒船としてやってくるだろう。そのとき日本の銀行やフィンテック企業は勝てるのか!?

「銀行サービスは必要だが、銀行は必ずしも必要ない」と米シティグループの幹部。銀行幹部みずからがそう認めざるを得ないほど、銀行が置かれている状況は厳しいものだ。銀行を脅かしているのはフィンテック企業なのだが、銀行利用者がそれを支持している。

「融資」だけがフィンテックの強みではない。決済分野でも話題を独占するフィンテック企業。
最近では、アップルのiPhone7にApplePayの機能が搭載されて話題になった。いわゆるお財布ケータイだが、それは前もってお金を入金しておくことで決済できるもの。米国「アファーム」はそれとは異なるシステムで決済サービスを行う。アメリカで7,000万人いるというクレジットカードを持たない(持てない)人たちを対象にしたショッピング決済サービスだ。

利用者は買い物時に「アファーム支払い」を選び、名前とメールアドレスと携帯電話番号、社会保障番号(下4桁)を入力する。すると、「アファーム」独自の人口知能が審査を完了させ、カードでも振込でもない決済がその場で完了する。要するにショッピング融資だ。審査の仕組みは、本人がSNSでどのような人と交流があるか、ECサイトでどのような行動履歴があるかなどを分析対象とする。
これもフィンテックだ。

<あすにつづく>

※今日の記事は「社長最前線!2016年12月号」でも図表を交えて
ご紹介しています。よろしければどうぞ。
http://www.e-comon.co.jp/saizensen/