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続続・人生で最も大切な「能力」

「ハーバード成人発達研究」による75年(責任者で4世代)の調査研究でわかったことは、幸せの鍵をにぎるのは「良好な人間関係」に尽きる、ということ。一昨日、昨日、そして今日と三回にわたってこのテーマを取りあげているが、本日が最終稿。

同研究所のロバート・ウォールディンガー氏が TED で話された内容は、分かり合える仲間が身近にいることの大切さ。仲間は数ではなく質であるという。周囲と良い関係が保たれれば、それは健康に良いばかりか、脳の活性化にも効果的だと同氏。以下、そのくだり。

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人間関係と健康に関して分かったさらに大きな事は、良い関係は身体の健康だけでなく脳をも守ってくれるという事です。何かあったとき、本当に頼れる人がいると感じている人の記憶は、はっきりしています。
一方、パートナーには全く頼れないと感じている人には記憶障害が早期に現れ始めます。良い人間関係といっても波風がない訳ではありません。ある80代のカップルは、明けても暮れても小言を言い合っているかも知れませんが、お互い頼り合えると感じている限り、彼らが苦難に遭遇して口論しても、後々まで残るという事はありませんでした。
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人間関係に困っている人は多い。
たとえば、親との確執、伴侶や子、親戚との確執からはじまって、職場での人間関係、友だちやご近所との関係などで困っている人をたくさん見てきた。なかには人間不信に陥ったり、引きこもってしまう人もいた。

昨日(9/7)、内閣府の調査結果が発表された。いわゆる「引きこもり」の実態調査で、全国の「引きこもり」は約54万人と、5年前の調査より15.5万人減る一方で、7年以上の引きこもりが倍増するなど長期化する傾向にあると報じられた。
「自室からほとんど出ない」や「趣味の用事のときだけ外出する」などと答えた人のうち、病気の人などを除いた人を「引きこもり」と定義している。男性が63.3%を占めているそうだ。

「ハーバード成人発達研究」の調査によれば、定年退職後、一番幸福な人は、仕事仲間に代わる新しい仲間を自ら進んで作った人たちだという。いつでもどこでも新しい仲間を、できれば世代を超えた仲間をもとうとする意欲が本人を幸せにする。

私が知るかぎり、経営者に「引きこもり」や人間関係に困難を抱えた人はいないが、決して良好とは言えない人はたくさんいる。そうした人のうち、「仕事で実績さえ出せば周囲も自分のことを認めるはず」という考えで人間関係を良くする取り組みを後まわしにする人がいるが、できれば今日からでも新しい取り組みに着手しよう。

本稿の結びをロバート・ウォールディンガー氏にお願いしよう。

・・・今からあなたに出来る事は、実際、無限にあります。テレビやPCの前の時間を、パートナーとの散歩とかデートなどにあてませんか。
何年も話していない家族に連絡を取るのも1つの方法です。よくある家族のいざこざは遺恨を抱く人々にひどい悪影響を及ぼすからです

最後にマーク・トウェインの言葉を引用して終わります。

一世紀以上むかし、彼は人生を振り返りこう書きました。「かくも短い人生に、争い、謝罪し、傷心し、責任を追及している時間などない。愛し合う為の時間しかない。それが例え一瞬にすぎなくとも。」

良い人生は良い人間関係で築かれます。ありがとうございました
(拍手)
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★TED 「ロバート・ウォールディンガー氏」
http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=4919