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「がんばるタイム」を挟んで一日を三つに分ける

2008年ごろ、女性下着メーカーのトリンプが「がんばるタイム」を取り入れて成果をあげたと話題になった。当時のトリンプ日本法人の社長・吉越浩一郎氏が考案した「がんばるタイム」は、社員個々が本来やるべき重点業務に没頭するために設けられた時間枠のこと。毎日13時~15時の2時間を「がんばるタイム」とし、その時間は外部との接触を一切断つ。電話やメールにも対応せず仕事に集中する。オフィス内での会話はもちろん、コピー取りや休憩、喫煙、トイレに行くことも原則として禁止するという徹底ぶり。

私も名古屋オフィスにいるときはゆるやかな「がんばるタイム」を設けている。午前10時から午後2時までの4時間がそれで、電話応対やSNS、 メールチェックをやらないのだ。(トイレは行くし、お茶は飲むがスタッフとの会話は原則としてしない)

外部の人は私の「がんばれタイム」を知らないので、「午前中に会いたい」などと言われるが、理由を説明せずに午後にしていただいている。

トリンプのやり方をそのまま取り入れた愛知県の A社(手作り家具の製造販売)を最近訪問した。A 社長によれば「がんばるタイム」の2時間は、社員の集中力が高まるのはもちろんだが、午前中もはかどるようになったという。なぜなら、午後一番の2時間は連絡が取れないとわかっているので、午前中に集中して外部と連絡を取ることになり、午前の生産性までもが大いに上がったというのだ。

A 社は10人ほどの会社で、全体朝礼を毎日行っている。以前は全員で「今日の目標と予定」を発表しあっていた。だが、「がんばれタイム」導入してからは、「午前」と「がんばるタイム」と「夕方」の三つの時間帯に分けて目標と予定を発表しているという。社員が以前に増して計画を緻密に立てるようになったそうだ。

「がんばるタイム」を挟んで次のように時間の色分けを明確にすれば、生産性は間違いなく上がるだろう。

・午前中・・・「重要かつ緊急の仕事」をやる3時間
例:営業活動、顧客打ち合わせ、現場の段取り、クレームトラブル対応

・がんばれタイム・・・「重要だが緊急ではない仕事」に取り組む2時間
例:それぞれの部署や個人本来の業務。企画、製品開発、研究開発、技術開発、業務改善、見積・提案書作成、など

・夕方・・・「残りの仕事」をやる3時間
例:客先訪問、部下後輩の指導育成、明日の準備と段取り、など

時間術に磨きをかける取り組みにおわりはない。