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社員旅行考

※当初の予定を変更した内容でお届けします。

昨年はちょっとしたきっかけがあって、ある会社の社員旅行に参加した。旅行先(京都)で経営計画発表会を初開催するので指導をして欲しいというオファーがあり、現地集合・現地解散という条件で参加させていただいたのだった。京都のホテルを借りて経営計画発表会の開催とその後の懇親会(先斗町)まで参加させていただいた。

年が変わって今年。旧知の会社から「武沢先生のご都合のよい日程に合わせるので」という最大級のお誘いを専務からいただいて、先週末、社員旅行のお供をしてきた。伊香保温泉(富山)&金沢(石川)一泊二日旅行である。

初日、朝8時出発。バスの中でいきなり缶ビールが配られた。後部座席は酒宴グループ。中央から前が読書 or のんびりグループ。私は中央に陣取って缶コーヒー片手に読書させてもらった。

一時間もしないうちに後部座席は宴会さわぎになったが、最前列にいる社長(65)も専務(40)も「ビールは足りてるか?」「焼酎もありますよ」などとホスト役に徹している。まさしく日ごろの労をねぎらう旅行である。

途中、世界遺産の白川郷に立ち寄り昼食をとった。この時期でも雪がまったくない白川郷は少々迫力不足だったが、私にとっては初めての地だったし、長年 Wish-List に入っていた観光地だったので感激ひとしおだった。

営業部門の責任者(50)がこの旅行の幹事長。彼は移動のバスで黙々と真田幸村の小説を読むばかりで幹事らしい仕事を一向にしない。「いいのかな?」と思っていたら、目的地の伊香保温泉に到着してから本領を発揮し始めた。

宴会場で専務の乾杯発声を合図に幹事らしい仕事を始めた幹事長は、2時間ちょっとに及ぶ宴会をほぼひとりで仕切った。地元から派遣されたコンパニオン女性もヒマを持てあますほどの幹事ぶりで、彼なりに宴会をいかに盛り上げるべきか、考えに考え抜いてきたのだろう。

宴会芸の内容については詳しく書くのがはばかられる。幹事長いわく「ニューヨークのセレブたちが今はまっている」というパーティゲームを幾つか仕込んできていたのだ。実際にはとてもセレブがやるとは思えない宴会ゲームだったが、専務も社長も社長の奥様もそれに参加し、会場は盛り上がった。私も調子にのって参加した。

翌朝、起きると伊香保温泉一帯は雪景色に変わっていた。昨夜のうちにコンコンと雪が降り積もったようである。朝食前に露店風呂に浸かりながら雪化粧した針葉樹群をみていると、東山魁夷の世界に入りこんだ気分になれた。「いいもんですね」いつしか新人社員が横にいた。

朝食を済ませて午前9時に宿を出発。伊香保から2時間かけて金沢の近江町市場に移動。予約しておいた食堂で昼食。私はウニ丼に治部煮をいただいた。大半の人が治部煮をご存知なかったのが意外だった。そのあと兼六園、21世紀美術館を散策。現地を午後2時過ぎに出発し6時前には名古屋市内にもどった。

調査によれば「余暇やレクリエーション行事」を定期開催している会社は全体の82%あるそうだ。そのうち社員旅行の実施率は46%であるという。つまり全体の38%の会社が社員旅行を実施していることになるわけだ。

2014年社内イベント・社員旅行等に関する調査(産労総合研究所)
http://www.e-sanro.net/jinji/j_research/j_research02/pr1411/

社員旅行に特段、なにかの企画や意図をもたなくても皆で一緒に旅行するというだけで「またみんなで力をあわせてがんばろう」という一体感が生まれるものである。