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進化する姿をお客に見せる

●今日で今年のメルマガ納め。

ウィークリー雑感ならぬ、イヤリー雑感を書こうと思っていたが、昨日の忘年会で今日書くべき事を見つけた。

●出てきた鍋がありえないほどい塩辛かったのだ。

「うそだろ、これが一番人気だというコンソメの鳥鍋かい?」

これはあきらかに味付けミスだと思い、店員を呼んでクレームを言おうとしたが、二人の息子がやめてほしそうな顔をしている。
「わかった、黙ってるよ」と私。鍋を残して他のものを美味しく頂戴した。

●食後、レジで家内が「あの鳥鍋、辛すぎましたよ」と苦情を言っていた。
「おいおい」と私。

店員は腰をかがめながら、「あ、そうでしたか。大変失礼いたしました。厨房の方に速やかに伝えます。ありがとうございました」と爽やかな笑顔。あの態度なら文句も言いやすそうだ。

●妻が外に出てきた。

「なんだよ、僕は我慢して黙ってたのに」
「だって、教えてあげないとあの辛い鍋を出し続けるでしょ」
「そんなの知ったことじゃないよ」
「あの店員さんだったから、言いやすかった」

●そんなことがあった帰り道、私は以前おとづれた居酒屋のことを思い出した。

ある地方銀行が主催した講演会に招かれたときのこと。
夕方にすべての行事が終わったので、その夜、ひとりで居酒屋に飛び込んだ。仕事のあと郷土料理を堪能しつつ手酌で地酒をあおる。
これが人生の情味というものだろう。

●あとで分かったのだが、この町で一番人気の居酒屋で他店からも見学に訪れるほどがんばっている居酒屋らしい。
まず気づいたことは、店内に活気があること。どの店員も笑顔で、動作や言葉づかいもキビキビしていて気持ちが良い。

●次に目に飛び込んできたのは、壁に貼ってある大きな黄色い紙。
ポスターよりも大きな紙には「居酒屋○○○ 進化の歩み」と題して、お店の改善の記録が載っていた。

●たとえばこんな具合。

・平成21年4月19日
水炊きの本鰹ダシの素材をより上質なものに変更。より一層コクのあるお味に改善させていただきました。

・平成21年4月23日
刺身のワサビが少ないとの声を頂戴し、即日、分量を2倍にいたしました。(改善前と改善後のわさびの写真付き)

・平成21年4月28日
混雑時にレジが混み合うため、お席で料金の精算をしていただけるようにいたしました。

・平成21年4月30日
車で初めてお越しになる方からお店の場所が分かりづらいとの声を頂戴し、県道沿いの野立看板を増やしました。

・平成21年5月4日
ホッケの干物が肉薄との苦情を頂戴し、納入業者と交渉して価格据え置きのまま肉厚なホッケに変更いたしました。業者様のご協力にも感謝いたします。(業
者の担当者らしき人の顔写真)

・・・etc.

ところどころ、写真やイラストも使って解説してある。
ざっと見たところ、少なくとも毎週ひとつは何かを進化させているようだ。

●この黄色い紙が店内のいたるところに貼ってある。まじまじと読んでいるお客もいる。お客の声を吸収するために、各座席にカードが置いてあった。

「素晴らしいお店ですね」、私はそう書き置いてきた。

●「進化し続けるお店」という姿勢をアピールすることでお客がリピートしやすくなるのは間違いない。
お客の声を聞くのはもちろんのこと、集まった声にどのように対応しているのかを公表しよう。

お客の声をたくさん集め、それをもとに進化するお店、進化する会社になろう。