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続・頭を良くする

日曜朝のトーク番組『ボクらの時代』にプラントハンターの西畠清順(にしはた せいじゅん)氏が登場した。まだ見ぬ植物を求めて一年で地球を10周分移動するという。植物の名前を覚えるのにふつうの人だったら5年かかるところを氏は2年で覚えたという。夢中だったからそれができた。もし努力しているのに5年もかかるというのなら、その仕事が向いてないのでしょうね、と笑いながら言ってのけた。どんな道でもプロとはそういうもののようだ。

『脳に悪い7つの習慣』(林 成之著)によれば、人間の脳の働きを良くするうえで興味をもつことが非常に重要だという。興味を失うとその分野の脳の神経経路が衰えていく。興味がないと思うだけでなく、ひんぱんに口にしているだけでもその分野が衰えるそうだ。

「〇〇には興味がないんだ」と言ってみよう。〇〇の中はなんでも良いので、それを連呼していたら本当に興味がなくなる。それが照れや謙遜で言っているのだとしても「ボクはお金儲けには興味がないんだ」「私は経営者には向いてないの」などと言っていると本当にそうなる。「うちの子は驚くほど足が遅いし、歌が下手なの」と親に言われた子はそれを信じ、本当に足が遅く歌が下手になる。(私)「うちの社員は・・・」と社長が言うセリフにも配慮が必要なのは言うまでもない。

もうひとつ、脳にはやっかいなクセがある。それは自己保存(自分を守ろうとする)と統一・一貫性のクセである。人は自分を守りたいという脳の習性のために自分と同じような考えの人と一緒に仕事をしたり交際したりする。反対に、自分と考えが異なる人を遠ざけようとする。そういうクセが脳にあるわけだが、それに従ってばかりいると道を誤ることがある。つまり脳も間違いを起こすわけだ。いつも同じような本(靴、カバン、服、音楽などもそう)を買うのもその習性が働いているためだ。

人の脳は新しい情報に接した時、瞬時に「好き」「嫌い」「得意」「苦手」などの感情レッテルを貼っていくという。そのレッテルのなかに「経営」「営業」「数字」「決算書」などといった言葉も当然含まれており、もしそれがネガティブなものだったとしたら経営者として相当苦労する。「本当は好きだ」「得意だ」と何度も脳に言い聞かせよう。そして分かりやすい本やセミナーなどで勉強するうちに本当に好きになり、やがて強くなる。そうやって自分を作りかえていこう。

プラントハンターの西畠氏のように短期間で植物の名前を覚えられたのは「頭が良いから」「記憶力がずば抜けているから」ではない。夢中になるほどそれが大好きだから。

夢中になるほど今の仕事が好きになればいいし、もし夢中になれないのなら、仕事を変えるか仕事のやり方、もしくは環境を変えればよい。好きな人と一緒に仕事をすることや、好きな場所で仕事をする、好きな道具を使って仕事をする、好きな時間に仕事をするなど、工夫の仕方は無限にある。

自然にまかせるままにしておけば、加齢とともにものごとへの興味がうすれ感動しなくなり、記憶力も判断力も生きる気力さえも失っていく。しかし、「頭が働くのは50代半ばから」と日刊ゲンダイが報じているように本来人間は加齢とともに冴えてくる部分もある。だから脳を覚醒させておかねばならない。脳も時々ミスをすることを主である我々が知っておき、上手な頭脳マネジメントをして無敵の「超サイア人」を目指そう。