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名スピーチをものにする

●チャップリンがヒトラーのナチズムを風刺し、商業的には最も成功した作品といわれる『独裁者』。
アル・パチーノが盲目の退役軍人を演じた『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』。
大統領自らエイリアンを退治すべく戦闘機で戦う『インデペンデス・デイ』。
史上もっとも内気な国王・ジョージ6世の実話といわれる『英国王のスピーチ』。

これらの映画にはひとつの共通点がある。それは何だと思われるだろうか?

●タイトルや内容、役者に共通点はない。
この四作品を実際にご覧になった人だけが正解をだせるだろう。それは、「スピーチが素晴らしい映画」という共通点である。いや、スピーチだけで泣かせる映画、というべきか。

私はスピーチが素晴らしいと条件反射のように涙がこみ上げてくるところがあり、この四作品はいずれもスピーチ場面で泣けた。

●『英国王のスピーチ』と『独裁者』はともにナチス・ドイツを脅威としたイギリス人によって作られた。『独裁者』自体はアメリカ映画だが、チャプリンは英国人。そして、この二本の映画のフィナーレは、たどたどしいスピーチで始まる点でも共通している。やがて、そのスピーチは静かに流れ始め、心地よい清流となり、やがて大きな奔流となる。ついには、国内はおろか、世界をも変える毅然とした声明になっていく。

●『インデペンデスデー』は戦場における兵士を鼓舞するリーダーとして最高級のスピーチであり、『セント・オブ・ウーマン』は、学ぶ者と教育者の正しい関係を問うスピーチとしてこの上ないものだと思う。教育者はもちろん青少年少女にたくさん見せてあげたい映画だ。

●私はこうした映画の名スピーチをワープロで文章にしておく。それを時々読み返す。必要に応じて自分の仕事や目標に置きかえて替え歌ならぬ替え文章にもする。

また、映画の名場面をiPhoneアプリで録画しておく。スピーチの名場面だけの撮り貯め集を作って自分一人で楽しむ。人をやる気にさせるスピーチとは、自分がやる気にさせられたスピーチでもあるのだ。それをとことん集めて自分のものにできるまで真似ていこう。

●吃音に悩んだ「ジョージ6世」でもあれほどのスピーチができたのだから、私たちにも名スピーチはできるはずだ。