●全国各地で震災被災者の受け入れを行っている。
私のオフィスの近くにもそうした方々を受け入れるマンションがある。
先週、いわき市から名古屋市に来られたばかりのある女性は、「本当に平和ですね~、名古屋は」としみじみと述懐されていた。
しばらく間を置いてから、「いわきも平和だったのよ~、少し前まで」と続いた。何も言えなかった。
●「がんばれ社長!」では、あまり政治のことは書かないようにしている。私自身、政治に興味が薄いせいでもある。
しかし震災のあと、政治家の判断や決断、行動がそのまま人命救助や被害地の復旧につながる様子をみた。そして原発問題への刻一刻の対応とその情報コントロールが住民や国民にどれほど大きな影響を与えるかを知った。それははじめて経験する命の危険をともなう不安感情だった。
●私の手元には、日本で仕事をしていることへの不安を綴った中国人経営コンサルタント(40代)の方からメールが舞い込んだ。
できれば日本で成功したい。しかしこのままここに居つづけるわけにはいかないという葛藤が記されていた。彼自身は日本にとどまりたいが、両親が連日の報道をみて一人息子を中国に連れもどしたがっている。
その方は東北や関東ではなく、ずっと離れたところで仕事をされているのだが、帰国せざるをえないという。夢半ばで無念の帰国。日本の政治家の情報発信力が外国人の人生にも大きな影響を与えている。
●世界が日本の政治と「フクシマ」に注目している。否が応でも国家というものを実感する状況になった日本人。だから政治家を批判したい気持ちよりもまず、今は「がんばれ政治家!」という気持ちのほうが勝っている。
●そんな中、石原慎太郎東京都知事が、「戦争時の連帯感は美しい」と都民に対し、実質上の”花見禁止令”を出した。被災者への配慮と節電の影響を考慮してのことだという。
「花見禁止なんて当然だ」という声と「いくら何でもやりすぎだ」という声が半々らしいが、あなたはどうお考えだろうか。
●たぶんに都知事選をにらんだ票取り発言にも思えるが、私は「やりすぎ」に一票を投じたい。(たかが)花見問題なのでめくじらを立てるほどではないが、根っこにあるのは先の「プロ野球開幕延期問題」と一緒だろう。
●政治家がリーダーシップを発揮するのは大いに結構。
「政治主導」も結構なのだが、政治家が官僚から主導権をとりもどすことが政治主導というもの。民間や個人をコントロール下に置こうとする行為は、かえって民間活力を奪うことになりはしまいか。
●上野恩賜公園では「うえの桜まつり」の中止を発表。
園内の至るところに宴会の自粛を呼び掛ける看板が設置され、恒例のぼんぼりは点灯せず、ごみ置き場や仮設トイレもないという。例年なら朝から場所取りで大にぎわいするのだが、昨日(3月30日)は1組しか場所取りする人はいなかったという。場所取りの必要がないのが今の状況なのだ。
●都立公園では、飲食を伴う花見自体は禁止しないが、過度に盛り上がっている団体には、ガードマンが自粛協力をお願いするらしい。
また、千鳥ヶ淵緑道のライトアップや、国立劇場や靖国神社などのお花見イベントも中止が決まった。
●被災地への配慮と自粛によってこうした動きをとることは理解できるが、「戦争時の連帯感は美しい」(石原知事)などと個人の行動にまで介入するのは政治家のおせっかいというもの。
●もっと民間の自主性に任せよう。信じるべきだと思う。
都立公園がライトアップしないなら、民間の花見施設は節電に配慮しつつもしっかり営業していただきたい。言われなくても企業も個人も大いに自粛している。自粛しすぎるほどに自粛している。いったい誰が鳴り物入りでドンチャン騒ぎするだろうか?誰かがふざけて大騒ぎしても、周囲がそれを制止するムードが今の日本人にはある。
●友人や家族と仕事帰りに誘い合って公園や川辺に出かけ、春を実感し互いの平和と無事を祝し、人生の年輪を確認する程度のことは大いにやってよいはずだ。
●昨日は私は18時から新橋で「がんばれ!スペシャル」を開催した。
よく利用するこのホールには全部で13の会議室がある。ほぼ毎回満室のホールなのだが、昨夜は「がんばれ社長!」以外の利用が皆無だった。私は入り口の看板をみてそれを知り、絶句した。「ここまで来てるんだ、東京は」と。
●自粛の影響で会議やイベントの中止が相次いでいる。それを知りつつ開催した「インド占星術・ジョーティシュ講演」。
1月から決まっていたとはいえ、この時期にマニアックすぎるテーマだったが、中止する考えはまったくなかった。それより、果たして何人集まってくれるのかに注目していた。
結果は13人。
少ない人数には違いないが、この時期にこのテーマでよく集まっていただけたと思う。ちなみに13人全員が男性。うち10人が社長だった。
●予定していた企画は予定通りやる。自粛の連鎖は負の連鎖。日本中が自粛スパイラルに落ち込んでしまったら大変だ。
そこまでいくと自粛ではなく心の萎縮、経済の萎縮になる。
「3月中は落ち込んでしまって仕事がまったく手につかなかった」というある女性作家は今週からブログでの情報発信を始めた。関西の日刊メルマガ作家も今日から発行を再開した。
すばらしいことだと思う。立ち上がろう!
●そして、「がんばろう日本!」
少しでも早く日本をもとの活力に戻し、新しい日本を創生するためには、元気な人たちが気持ちを奮い立たせて前に進んでいくしかない。
それが被害を免れた人としての責務だと思う。何もしないことが正しいのではない。