●昨日号でこんなことを書いた。
あなたの会社の顧客が何年間顧客であり続けてくれるかを「顧客定着年数」として押さえておくことはとても大切なことだ、と。
それを受けて、ある建設会社の社長がこんなメールを送ってくれた。
・・・去年、リフォームさせて頂いたお客様は、30数年前に父が新築させて頂いたお客さまでした。私はその事を全く知らず、お客様から聞かされた次第です。意外とお客様は他所の建築屋には頼まないんだなと思いました。
基礎データは非常に大事だと思った次第です。
・・・
●住宅や結婚式場などは、一生で一度しか買わないものかもしれない。
葬儀会社にいたっては、間違いなく一生に一回だ。
仮に住宅の場合で、30年前のお客が今もお客でいてくれたとしても、「顧客定着年数」を30年と考えると判断を見誤るだろう。30年間毎年買ってくれるのならそれでも良いが、こうした場合は、顧客定着年数は1年(もしくは一回)とみておいた方が安全だ。
それは、毎年新しいお客の開拓を必要とするという意味である。
●もちろん会社としては一度のお客に対しても、きちんと顧客管理し、リフォームや営繕などの仕事にむすびつける努力は必要であるのは言うまでもない。
●こんな驚きのメールも届いた。名誉のために年令、地域、業種は変えてあるが、文面はほぼそのままであり、きちんと社名も実名も名乗られていた。
・・・いつも楽しみに拝見させて頂いております。
私は経営者ではありませんが、28歳で事業部を一つ運営しています。
その事業は、モバイル広告事業です。
九州では比較的大手の広告代理店に所属し、この分野を一人で担当しているのですが、全くもって新規開拓が上手くいかない状態です。
社内では、「あなたが自分で考えて動けばいい」と言われますが、何分わからずに、勢いだけで来ましたので、何をどう進めていくべきか、の状態で、フラフラしています…。
武沢様なら、この新規開拓の営業企画で何か思いつく事はないでしょうか??
本当に自分自身が迷って、何が正しいかわからない状態にまでなってます…。
こんなメールをしてしまい大変失礼かもしれませんが、アドバイスよろしくお願いします。
・・・
●このメールを拝読し、大変お気の毒に思った。
きっちりした会社しか知らない人は信じられないかもしれないが、このような会社が結構ある。
会社として新しい事業に取り組んだ。最適と思われるスタッフにその事業を任せたのだが、上司も経営者も完全に放任。任せられた当人はもがき苦しんでいる。
●私からメールの主に提案。
「撤退すべき」と提案すべきである。
どうやって売っていったらよいか社内の誰も分からない事業に手を出すことが誤り。仮に会社全体として利益が出ていて、その事業部は赤字でも良いという場合でも、貴重な人材資源や財源を方向音痴の分野に流出させてはならない。
●それと、もうひとつ大鉄則。
新しい事業は社長が陣頭指揮すべき。そのスタッフに若者が加わるのはよいが運営すべてを任せるのは間違っている。
おまけに「良きにはからえ」としか言えないなんて無責任だろう。
●最後に、それでも「やれ」と言われたら、あなたは責任者としてすぐに販売計画を作らねばならない。
売上目標が決まっているのであればそれを達成するための行動計画をとりまとめる責任があなたにある。迷っている、フラフラだというだけでなく、どうしたらモバイル広告が売れるのか研究をかさねる必要がある。それが仕事を引きうけた者の責任だ。
あなたの目標達成に必要な情報はいたるところにある。