●ネットでいろいろ調べ物をしていたら、香川県中小企業家同友会のホームページにたどり着いた。このホームページでは、中小企業が日本経済の中心的担い手であるにもかかわらず、国の中小企業政策が手薄である、と問題視している。抜粋してご紹介してみたい。
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1.日本経済に占める中小企業のシェアーをご存知ですか?
1)事業所数、会社数
事業所数(612万社)のうち中小事業所は、607万社(2001年総務省「事業所・企業統計調査」)であり、99.2%を占めている。
会社数ベースでも中小企業は約160万社(99.2%)である。
2)社員数
民間企業で働く人、5,468万人の79.9%(4,370万人)が中小事業所で働いている。
3)法人税、源泉所得税、地方税等
2001年の法人税総額 10兆8946億円に占める中小企業納付分(資本金1億円未満の法人企業が納付する法人税)は、3兆6010億円(33.1%)であった。
2001年の源泉所得税総額 9兆4898億円に占める中小企業従業員納付分(資本金1億円未満の企業従業員が納付する源泉所得税)は、3兆3380億円(35.2%)で
あった。
地方税は、赤字企業であっても地方税では法人住民均等割り、固定資産税、事業所税等の税を年間4兆5千億円負担している。
4)中小企業と大企業の国の予算に占める比率
2003年度の中小企業対策費は一般会計で1729億円、一般歳出に占める比率は0.36%、2004年度は1738億円(同0.36%)と最低水準を更新。1980年度には、
2435億円(同0.79%)あった。
2004年度経済産業省予算案に占める中小企業対策費は、6.8%にしかならない。例えば、ほとんどが大企業にまわる産業技術関連予算だけで中小企業対策費
(経産省)の4.8倍の6226億円。
★香川県中小企業家同友会 ↓
http://www.kagawa-doyukai.com/index_file/kensho.htm
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●そうした背景から「中小企業憲章」の制定を7年かけて訴えてきた中小企業家同友会の願いが遂に2010年6月18日、結実した。
日本独自の「中小企業憲章」の制定が閣議決定されたのだ。日本もこれでようやく中小企業を雑魚扱いするのではなく、主役扱いしていく端緒になってくれれば良いと願う。
その元となったのは、EUが制定した「ヨーロッパ小企業憲章」というもの。
●80年代から90年代の初頭においてヨーロッパ諸国の経済は衰退し、深刻な失業問題を抱えていた。とくに中小企業が疲弊し、次々に倒産廃業していく状態を放置していてはヨーロッパ経済は世界から取り残されるという危機感から生まれたものが「ヨーロッパ小企業憲章」である。その際、手本にしたのが日本だといわれる。
日本の中小企業はなぜ強いのかを彼らは徹底的に調査分析しているのだ。
●「ヨーロッパ小企業憲章」は、2000年6月、ポルトガルで開かれたヨーロッパ連合(EU)理事会で採択された。
その特徴は何といっても従業者数が10人から49人の「小企業」に焦点をあてていること。
ちなみにEUでは、従業者250人以上を「大企業」、50人~249人を「中企業」、10人から49人を「小企業」、10人未満を「マイクロ企業」と定義している。
●この憲章は、「小企業こそ “ヨーロッパ経済の背骨”であり、”雇用の主要な源泉”であり、”ビジネス・アイデアを産み育てる大地である”」と、その地位と役割を明確にした。
その立場から「小企業が最優先の政策課題に据えられてはじめて、新しい経済の到来を告げようとするヨーロッパの努力は実を結ぶだろう」とし、加盟諸国にたいし、以下の10項目の行動指針を提起した。
(1)企業家精神を育むための教育と訓練
(2)費用や時間のかからない開業
(3)小企業にとってより良好な法制整備と規制緩和
(4)技術・技能の習得支援
(5)オンライン利用の利便性改善
(6)単一市場からより多くの成果をあげるための支援
(7)税制と金融面からのバックアップ
(8)小企業固有の技術力の強化支援
(9)成功するe-ビジネスモデルの発掘と経営支援
(10)EUおよび各国レベルにおける小企業の協力協調支援
EUでは、この憲章にもとづく課題を各国がどこまで実施しているかの報告を毎年出させ、憲章の精神が具体化されるよう細かくチェックしているという。
●日本はこの10年、中小企業が急速に弱体化してきた。
このままでは、国内の中小企業がダメになるという危機感から成文化されたのが「中小企業憲章」である。
この憲章の精神が結実するよう、ヨーロッパのようなチェックの仕組みが必要になるだろう。
明日は、日本の「中小企業憲章」の全文をご紹介したい。
<つづく>