●あぜ道を走っていたら、お百姓さんが一人作業をしていた。
「おじさん、仕事中すいません。ライブレボリューションにはどうやって行けばよいか教えていただけませんか?」
農作業の手を止め、腰を伸ばして汗を拭きながら道案内してくれる。
「ありがとう、おじさん!暑いけどがんばってね」と気持ちよく言ってくれるような学生にはライブレボリューションへの本当の道を教える。
「おやじ、ライブレボリューションはどこ?」と道の聞き方も知らない学生には、元来たところへ戻る道しか教えない。
その農夫がライブレボリューションの社長とは・・・。
●これは私の想像物語だが、そんなちょっとした仕掛けがライブレボリューションの採用活動の随所にほどこされている。なぜなら、将来一緒に仕事をすることになったときには、その「ちょっとしたこと」がとても大切だから。
●「僕らの採用は大企業では真似できない」と豪語する増永寛之社長(株式会社ライブレボリューション代表)。
それには二つの意味が込められているようだ。
ひとつは同社独自の採用基準を満たせず、落選した学生たちが次々に有名大企業に就職していくから。もうひとつは、同社の緻密な採用ノウハウ。
●増永社長とご一緒した時間の半分はオフレコだったので、書けないことが多くて悔しいが、あなたの想像をかき立てる。どうか、思い切り想像しながら読んでもらいたい。
●「僕たちは事業計画ありきで人を採るのではなく、人ありきで事業計画を作る。だから、仮に30名採ろうと思っていても該当者が少なければ18名で終わることもある。その逆に、たくさん採れる年があるかもしれない。あくまで人の質にこだわるので、まず人ありき。人を元にして事業計画をつくることになる」(増永社長)
●たしかに大企業は事業計画ありきなので、その年の採用予定人数がすでに決められている。
当然、採用基準はあるものの、まず優先させるのは人数の確保である。
それが甘い採用につながる。その結果、甘い採用で入社した人材でも回せるオペレーションを作るので、年々、採用力が低下していることに気づかないでいることが多い。
●ライブレボリューションでは、超一流大学の成績抜群な若者でも次回の選考会には呼べないということが起こる。それは、他社と重視している事柄がまったく違うからだ。
まずはここ最近、同社を訪れた学生の数をみてみよう。
就活ゼミなどの来訪者
・2007年 春採用 3,000人
・2008年 〃 9,000人
・2009年 〃 16,000人
・2010年 〃 26,000人
・2011年 〃 44,000人
●今年は44,000人の学生がライブレボリューションの就活セミナーを受けた。そのうち、会社訪問した学生は約20,000人。その20,000人の中から18名を採用したので、0.09%の合格率ということになる。
しかもこの数年、採用に投じたコストはほとんど変わっていない。採用を担当する人材だって、役員一人に採用リーダー一人の計二人だけ。
それでいて、リクルーターと学生とが一対他の関係になるのではなく、あくまで一対一の関係で、「やぁ、○○さん」と旧知の間柄のように親密でいられるのはなぜか?
●それを支えるのが採用支援システム「リクマーク」の存在。
就活セミナーなどで一度でも接触があった学生には、携帯電話で本人登録してもらう。そこにアンケートや感想文なども書いてもらい、すぐに担当リクルーターが決まる。以後、学生はいつでもログインできて、担当リクルーターと直接連絡のやりとりができるようになる。
●説明会やインターンシップ体験、選考会の日程案内をメールし、その後は学生からアポや連絡を入れてもらう。以前までは、リクルーターの方から学生に連絡を取っていたのだが、それだと求人コストがかかりすぎていた。だから最近、発想を逆にした。
●そのきっかけは、増永社長が通っている美容室。自分で都合のよい日時を携帯やパソコンで予約すればよいので、お店もお客も便利だ。
それを同社の採用システムの基本に据えた。
●「多くの企業は学生の選び方を知らない」と増永社長。
知名度があるからたくさんの学生がくる。たくさん来るから雑な対応をしてしまい、明確な基準もないまま三週間くらいの選考期間で決めてしまう。それでも人事は責任を果たしたことになるのだろうが、中小やベンチャーでそんなラフな採用をしていたら、会社が寄って立つべき基盤、経営理念や経営目的が危うくなる。
●「日本の戦後経済を引っ張ってきた製造業では品質向上のための改善制度などで不良品率を下げる取り組みをおこなってきた。そうした品質向上運動は功を奏したわけだが、これからの時代はそれだけでなく、人材の不良品率を下げる取り組みをしなければならないと思う」と増永社長。
一年で半分辞めてしまったら人材の不良品率(ロス率)は50%になる。
製造業で不良品率が50%もあったら倒産するだろうが、人材の不良品率については案外、重視していない。
●だから、本当に必要としている人材像を明確にし、学生の本質を少しでも早く見抜き、自社が必要としている人を逃さずにゲットするシステムに心血を注いできた。
2005年から新卒採用主義にしてから59名を採用し、1名しか辞めていない。今年は44,000人だった接触学生の数が今後どれだけ増えたとしても「リクマーク」がある限り、スタッフを増員せずコストも増やさずに良品人材だけを採り続けるだろう。
●最後に、増永社長が6月に書いた本がある。
『Twitter就活』(ダイヤモンド社)という。主に学生向けに書かれた本ではあるが、採用上手になるために経営者にもおすすめしたい。
★Twitter就活 → http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=2603
★ライブレボリューション → http://www.live-revolution.co.jp/