●「寝ても覚めてもある夢のことを考えていますが、それをどうやって実現するかとなると方法論が思い浮かばず、とたんにテンションが低くなってしまいます。」というメールを頂戴した。
●夢はあるのだが、それを実現する手順がわからない場合は、頭を使うのをやめて、手と口を使おう。
まず手を使う方法。
それは、指に考えさせることである。紙かキーボードに向かって思い浮かぶアイデアをひたすら書きまくろう。下手な文字で構わないし、ていねいな文章ではなく、単にキーワードが羅列されているだけのものでも良い。
慣れている人はマンダラチャートやマインドマップなどの思考ツールを使った方が生産的かもしれないが、それも自由だ。
●次に口を使う。
斬新なアイデアが出てくるような触媒のような仲間とブレストしよう。
このミーティングには、辛気くさい顔をした奴や、もったいぶった発言をする人間は入れない方がいい。適度にミーティングの温度を冷ます人はいても良いが、ミーティングのリズムをぶち壊されてはたまらない。
●口を使うもう一つの方法は、とにかくしゃべり続けること。アイデアを真剣に聞いてくれる相手を見つけて、2分間スピーチを何十回も行うとよい。
そのやり方は昨日号でご紹介したが、読者からさっそくこんなメールをもらった。
「2分間スピーチを30回やれ、ということでさっそく1回だけですが、やってみました。2分は長いですね、タイマーが無かったので時計の秒針を見ながらでしたが、最後ちょっと余りました」
●おやおや、2分間スピーチが長く感じるとは何たることだろう。
きっとこの人は何の準備もなくスピーチを始めたに違いない。昨日ご紹介した正しい準備をして始めれば、2分間の短さに愕然とするはずである。
●では、お約束通り姫路の藤橋社長から頂戴した体験談をご紹介したい。
・・・こんにちは、藤橋です。私の拙い文章をこうしてお使い頂けるのは、この上もない喜びです。
1.私は31回 2分間スピーチを行いました。
前もって用意した経営計画の内容を2分間スピーチ用にアレンジし、それを行きつけの美容院のオーナーに頭をカットしてもらいながらしゃべり続けました。それは、2月19日(土)の19時~20時15分にかけてでした。
彼は、手作業をしながら聴いてくれました。当社の売上高や利益の具体的な数字には少し驚いていたようでが、事業に対する思いや夢みたいなことは、日頃からよく聴いてもらっているので、「ええんとちゃう。がんばりや。」とのエールの言葉を頂いた位です。
私としてはよくぞ1時間以上も何も文句も言わずに快くお付き合い頂けたと感謝しているのと、言葉には出さなかったけど、視線で熱いエールを送ってくれていると感じました。
2.30回スピーチを体験して
この様に、自分の思いを30回以上も部外者の人に聞いてもらったのは初めてです。
実は美容室へ行く前にも一人で3~4回練習しておいたのですが、いざ、始まってみると15回め位まではなかなか自分の想いが言葉の中に入りませんでした。でも回数を重ねるごとに、言葉に力が入り、潜在意識の中に想いが入り込んでいく様に感じました。
だんだん回を重ねるごとに、思いが確固としたものとなっていき、それを実現する為には、何をなさねばならないが、どう動くかなど具体的なイメージもわいてくるようになりました。
3.後日談
その後、また30回スピーチをしましたが、さらに思いが強くなってきたと感じます。
美容室のオーナーからメールをもらい、「一番印象に残るのは、回数を重ねるごとにどんどん力強くなっていくのがようわかったわ」とご回答頂きました。
・・・
●まず、体験談をご披露いただいた藤橋さんに感謝したい。
実は、この30回スピーチ法を私に教えて下さったのは日本話し方センターの江川ひろし先生だ。
あいにく先生は平成15年2月18日にこの世を去られたが、ちょうどそのご命日に藤橋さんは自宅でスピーチ練習をしていたことになり、何かの縁を感じる。
●誰がスピーチを聞いても力強さを感じるこの方法。
まずは、友人や家族など親しい人に聞き役をお願いし、語ることから生まれる内面の「狂気」を体感してみてほしい。
江川先生いわく、それこそが「外的要求」を「内的欲求」に昇華する実践法だ、ということになる。
★藤橋社長の株式会社藤橋商店
⇒ http://www.fujihashiya.com/company/3aisatu.html
★日本話し方センター
⇒ http://www.ohanashi.co.jp/