●「私をマダムにしてくれる?」
七年前に社長の小嶌(こじま)が脱サラの相談をしたとき、新婚早々の若奥さんがそう聞いた。
「もちろん!」と答えた小嶌社長(35)にとって、経営指針書の裏テーマは奥さんをマダムにすること。
「マダムって水商売?」と周囲は冷やかすが、小嶌夫妻にとってマダムとはファーストレディ(首相夫人)かセレブのような意味なのだ。
●そんな小嶌の会社は給排水設備工事業で、社員数は20名。
7年目にしてすでに売上げは3億円近くあり、利益水準はまだまだ低いものの、3年後には売上げ5億円、粗利益2.5億円、経常2,500万円、社員数30名を計画。そのための郡部開拓マーケティング計画も作った。
●経営指針講座の最終回は、24社の社長が計画発表をするので持ち時間はわずか3分しかない。
何回も何回も自宅で発表の練習をしてきたから、2月16日の発表当日は、緊張することもなく、ぴったり3分で計画発表した小嶌社長。
「きっちり練習してきたでしょ」と武沢に聞かれ「はい」と胸を張った。
●寝具をネットで販売する小林社長の場合も奥さんに対する思いは真っ直ぐだ。なんと、「かみさんを幸せにする」という経営理念を作ってきた。だが、武沢のアドバイスで別の理念に変えたが、妻であるだけでなく、唯一のビジネスパートナーである奥さんを大切にすることは小林の至上命題。
「当社で選んだ布団の上でまいにち眠ることが楽しくてしようがない」とお客の声が届く会社にするのが小林の夢だ。
先代の創業以来、44年間布団一筋でやってきたノウハウをネットで爆発させるつもりだ。
ただし、数字至上主義に走らないよう、あえて数字目標は控えめにした。5年後、売上げ1.5億円、経常利益1,500万円、社員数4名を計画している。
●(株)M 制御盤・各種制御装置製造 社員数70名
・理念「smile spirit company」 私たちは、思いの詰まったものづくりからお客様の「笑顔」をいただき、社員とその家族の「笑顔」へとつなげます。
今期も2億円台の経常利益をあげているM社だが、5年後には社員数はわずか8名の純増(78名)で、売上げを今の2倍、経常利益は6億円にすると発表した。
「内部管理力を高めることがその鍵を握っている」とS社長。
●H自動車(株) 自動車整備・販売 社員数5名
・理念「地域の人々の頼れる車屋」 自動車技術の高度化に対応し、我々も成長する。
下請け比率を徐々に減らし、長期的には9割がユーザー直請けの会社にする。そのための人材育成に取り組む初年度が今期であるとH社長。
今回が初めての計画発表のせいか、少し照れがあるようだが今後は照れは表に出さないこと。あたかも時代を先回りして、それを見てきたかのように未来のことを発表しよう、と申し上げた。
未来のことを考え、イメージを固め、計画に落とし込み、それを自信満々に語る。そうした能力は訓練で養っていくことができるのだ。