●読売ジャイアンツの原辰徳監督4冠王おめでとうございます!
3月のワールドベースボールクラシックで世界一になり、セリーグを三連覇して七年ぶりの日本一にもなった。さらに先日の日韓覇者対決も制して4冠完全制覇を果たしたわけだ。
●原監督が就任した初年度の2006年シーズンでは、前半戦に14個の貯金があり、誰もが余裕で優勝すると思ったはず。だが、後半戦によもやの大失速。終わってみたら借金14個を残してリーグ4位に甘んじた。
●テレビカメラの前で「こんな弱いチームで野球をやりたくない」とこぼした原監督。その後、清武代表と二人三脚で生え抜き育成重視のチームを作ってきた。
「うまい選手はいらない。強い選手がほしい」と。
●あれから三年、よくこれだけ短期間でチームを立て直したと思う。
原監督と清武代表の見事な経営手腕のたまものである。
だが、今年も依然として移籍組の活躍なしでは優勝できなかったはず。
他チームから選手を取って補強するのはどこもやることだが、それにしても主軸選手に移籍組がまだまだ多い巨人。
●セリーグMVPに輝いたラミレスや小笠原、谷、李などの野手組の半数近くが移籍組に頼る。投手でもグライシンガー、ゴンザレス、クルーンらの主軸が移籍組。もう少し純血比率を高めたいところだろう。
●ここ最近は、「総合力ではなく一芸に秀でた選手を取る」という清武代表の採用戦略が功を奏して若手が育っている。
そういえば昨年の新人王は、巨人の選手同士の戦いだった。
結局、坂本勇人選手に競り勝って山口鉄也投手が新人王に輝き、今年は松本哲也選手が新人王になった。
巨人から二年連続新人王が出たのは、51年前の藤田、長島の時以来である。
●渡辺オーナーが最近、「投手があと1人か2人出てくれば10連覇も可能だ」と豪語した。
たしかに巨人の投手は手薄で来年期待されるのは、金刃、西村、野間口、木佐貫、辻内、久保、木村、古川あたり。このチャンスを活かして大きく化けてくれる投手がどれだけ表れるか楽しみだ。
●さて、先日のサンデースポーツでは西武ライオンズのドラフト戦略を特集していた。
これまでも独自のドラフト戦略で他球団があまり注目しない選手をとり、彼らを一軍レギュラーにしてきた西武の舞台裏に迫るものだった。
まず、私なりに西武球団の過去のドラフトからおもだった選手をピックアップてみた。
<2000年ドラフト>
1位 大沼 幸二 プリンスホテル 投手 ・・・貴重な中継ぎ
2位 三井 浩二 新日鉄広畑 投手 ・・・数年前大活躍
3位 帆足 和幸 九州三菱自動車 投手 ・・・中心投手
4位 佐藤 友亮 慶応大 外野手 ・・・中堅外野手
5位 中島 裕之 伊丹北高 内野手 ・・・全日本の3番打者
<2001年ドラフト>
自由 細川 亨 青森大 捕手 ・・・メイン捕手
2巡 中村 剛也 大阪桐蔭高 内野手 ・・・二年連続ホームラン王
4巡 栗山 巧 育英高 外野手 ・・・不動のレギュラー
<2002年ドラフト>
4巡目 小野寺 力 常磐大 投手 ・・・貴重なリリーフ
<2003年ドラフト>
7巡名GG佐藤 1Aレイクウッド 外野手 ・・・不動の主軸打者
<2004年ドラフト>
1巡 涌井 秀章 横浜高 投手 ・・・エース
3巡 片岡 易之 東京ガス 内野手 ・・・不動のレギュラー
<2006年ドラフト>
希望枠 岸 孝之 東北学院大 投手 ・・・涌井と並ぶエース
5巡 岩崎 哲也 三菱重工横浜 投手 ・・・一軍
●石井一久投手やグラマン投手、ボカチカ外野手などの助っ人組も活躍しているが、それでも圧倒的に生え抜きが多い。
●一般的には一人の選手を一人のスカウトマンが追いかけることが多いなか、西武は必ず3人程度の目で一人の選手を査定する。
しかも査定項目は、現状の能力査定だけでなく将来性を評価する欄がしっかりある。
●伊丹高校からドラフト5位で指名された中島選手の場合は、将来性の項目に3スカウトとも「A」を付けた。鍛えて経験を積ませれば化ける、というわけだ。事実そうなった。
いま野球が上手か下手かではなく、将来一軍に定着して活躍するだけの基礎体力や筋力が備わっているか、あるいは練習姿勢やメンタルのタフさなどを総合的に判断するという。
●スカウトマンは一人の選手を何年にもわたって追いかける。その上で指名する、しないを決める。しかも選手の意向もあるし、他の11球団の出方も関わってくる。
そうした苦心の結果、無事に指名でき、入団してくれた選手が活躍する姿はわが子の活躍をみる思いだろう。
●企業でもプロ野球のようにスカウトマンがいる場合もあるが、まだまだ「待ちの採用」が多いようだ。
だが、やがては企業でも日本中を行脚するスカウトマンが活躍する時代がくるだろう。