★テーマ別★

ジーパンをはくな

●今回は、中国、マカオ、バンコクを5泊6日で巡る出張。メインは、「和僑会」の会議や講演である。

日曜日の昨日は、予定していたマカオ観光をキャンセルしてサウナと自室でのんびり過ごした。
ベッドの上で横になって本を読む。今回は『ジーパンをはく中年は幸せになれない』(津田秀樹著、アスキー新書)だ。空港の書店でタイトルにひかれて買っておいた一冊である。

●中高年はジーパンをはくな、とはショッキングなタイトル。時々ジーパンをはく者としては「いったい何だろう?」となる。著書の主張はこうだ。

「歳をとっても、若い頃と同じように頑張り続ける」というのは、健康で元気という意味では、たしかに素晴らしいことである。だが、精神的発達という意味において、いつまでも若いころのままでいようとするのは健全とはいえない。
心は若いのに身体だけは老けてきて納得がいかない、自分の年令になじめない人がアンチエイジングに走っている。でも本当に大切なことは老いに抵抗する生き方ではなく、心の成熟の方に走るべきである。
服装も季節ごとに替えるように、心にも衣替えが必要である。だから、「シーパンをはく中年は不幸になる」のである。

●このくだりを読んで最後の一行はやっぱり無理のある主張だな、と思った。
出版社の意向もあってあえて奇をてらったのだろうが、ジーパンを悪者にしただけで、その代わりにこれをはけ、とか、こう生きろという骨太な主張がない。

●まるで彼女に好かれるために、あえて初対面の時に喧嘩をふっかけるようなものだ。その後、「意外にいい人」になり最後は、大好きな人になろうという魂胆が見えかくれする。

●240ページあるこの一冊を、最初の24ページで捨てたくなった。だが、ジーパン以外に何を語るのか少し気になり、読み進めるうちに不本意ながら著者の世界に引きずり込まれていった。
漫才師が最初のつかみでは失敗したがネタは意外にオモシロイ、というようなものか。

●一応著者がどんな人なのかをネット検索したら、氏がウィキペディアにあった。まだ書きかけのようだが、もともとは試験問題を解く裏技を見つける試験研究家だったとある。

だが『ジーパンを・・・』の著者経歴では、「心理研究家」とある。
きっと最初はテスト問題を作る試験官の心理分析をするうちに心理研究家になり、今の本職につながっていったようだ。学者ではないので小難しい理屈がないのは実用的。

●さて35ページあたりから少し面白くなり、52ページから俄然面白くなる。

・親切にしすぎると仕返しされる・・恩がアダになるとき恩がアダにならない親切とは
・大切な仕事の前日ほど深酒したくなる心理 自分で自分にハンデをつけてしまうセルフ・ハンディキャッピングとは
・有名選手が伸び悩み、無名選手が活躍する理由
・「あなたはやればできる子」は危険な励まし
・仕事や恋愛などで、目の前のチャンスを人に譲ってしまう心とは
・成功したいという動機よりも、失敗したくないという動機の方が勝ることがある
・みんなで考えるブレストは、一人で考えるよりも劣る集団は危険な結論を出す
・不幸は人にうつる

などなど。タイトルは好きになれないが読んでおいて損はない一冊だと思う。

★ジーパンをはく中年は幸せになれない
→ http://www.amazon.co.jp/dp/4048677756/