●週末の三日間、南阿蘇を旅した。
雄大な阿蘇の外輪山に囲まれると、悠久のむかし、ここが8千メートル級の一つの山だったとはにわかに信じることができない。それほど自然の偉力と、強い気の流れを感じるのが阿蘇の魅力である。
●旅をご一緒したのは渡辺知子さん(以下、知子さん)ご夫妻。先月「渡辺知子一座」のコンサートを聞きに行ってご縁ができた。
お目にかかるのはこれが二度目だというのに、知子さんご夫妻の水入らずの温泉旅行に私がノコノコと同伴させていただくことになった。
縁とはこんなものなのだろう。
●小倉駅で合流し、ご主人の橋本さんの運転で小倉から大分を抜け阿蘇に出た。
さすがお二人はプロの音楽家。イベント企画はお手のもののようで、実に手際よく阿蘇の見所や、食べるべきもの、買うべきものの隠れ家的スポットへお連れくださった。日田(大分)の下駄と丸ぼうろをゲットできた。
●そして温泉好きの知子さんご夫妻が今もっとも気に入っているという「地獄温泉・清風荘」にチェックイン。
ここには年に数回ほど来られるそうで、お湯良し、料理良し、人良し、値段良し、と何拍子も揃っているお宿。朝夕の食事のすばらしさは筆舌に尽くしがたいが、過去の温泉旅館の夕食のなかで、「野趣あふれる郷土料理」という点ではここがピカイチだろう。
羊、いのしし、鹿、鴨の肉を墨焼きにしたり、鍋にして食べるのだが、味わいがすばらしい。雉(きじ)の刺身のモチモチとした食感はフグ以上だと思った。
●九州といえば、誰もが知っている有名な温泉地がたくさんある。日本有数の湯量をほこる別府や、最近では湯布院や黒川など有名な温泉街がいくつもる。
ところが、「人がドッと押しよせるようになってしまったら、かわいそうだけど温泉地の魅力が乏しくなる」というのがご夫妻の持論で、今回の宿は、まだそうなっていない。
何度かテレビで紹介されてはいるが、交通が不便なのか観光地化が進んでいないのがうれしい。
●清風荘には湯船が四つある。それ以外に、近所の山口旅館でもらい湯ができるので、湯巡りも楽しいが、我々はもっぱら「すずめの湯」という混浴露天風呂で大半をすごした。
「地獄温泉」のいわれになっているように、フツフツと音を立てながら地面から湯が沸き立っている。イオウの臭いと泥をとかしたような白濁色が相まって、ほんとうに地獄にいるような気分に浸ることができる。湯温もちょうどよく、長い時間浸かっていられる。
★地獄温泉 http://jigoku-onsen.co.jp/
●「混浴」とは名ばかりで、女性客は女湯しか使わないという温泉も少なくないが、ここの場合は、かなりの割合(それでも半数弱か?)で混浴露天を利用される。それが楽しみというわけでもないが、やっぱり「すずめの湯」が一番だ。
●さて、渡辺知子さんといえば月刊『致知』や「たけしのアンビリバボー」でも取材された音楽家。
彼女自身が二度にわたる難病を克服し、障がいをのりこえ、「障がいも個性である」と各地で訴えながらコンサート活動を続けてきた。
命の大切さやありがたさ、生きる喜びと無限の可能性を音楽を通して伝えていく。
そんな彼女たちの熱いメッセージを全国各地に届け、感動の輪を広げてきた。
★渡辺知子公式ホームページ http://www.tomotaka2.sakura.ne.jp/
●そんな渡辺知子一座と「がんばれ社長!」が一緒にやれることはないだろうか?
温泉に浸かりながら、幻の焼酎『森伊蔵』を味わいながら、そんな相談をするのが今回の旅の目的。
そして結論。
「社長インタビューの音楽番組CDを作ってみよう」ということになり、そのオープニングとエンディングのテーマ曲を私が作詞することになった。それに知子さんが曲を付け、早ければ1~2カ月後には配信される予定。その後は、音声メルマガやポッドキャストにも対応するかもしれない。
●弊立神宮に参って成功を祈願し、「お疲れっ!」と小倉にもどった。
知子さんご夫妻が大のお気に入りだという『珍竜軒本店』のラーメンでランチを済ませ、それで解散と思いきや、最後の最後にもうひとつサプライズが待っていた。
●私のワイン好きを知ってお連れいただいたのが「PJワインセラー」本店。小倉市内にあるこのお店のワインセラーは常時3000種類、20万本のワインを保有する西日本最大級のワイン屋さん。
しかも二ノ宮社長、林会長が年に4回直々にヨーロッパなどを訪問し、コンテナ単位で直輸入されるというこだわりが特色。
●膨大な敷地を利用し、あえて町のど真ん中にワインセラーを作った。
交通量が多いとワインにとって苦手な振動が出るため、町のまん中にされたとか。もともとの本業は油圧関係のお仕事。
最初は「好き」ではじめたワインの直輸入がだんだん高じて遂にここまで来た、とおっしゃる。それにしてもこのワインの質量はあっけにとられるほどのもの。
フリッカー → http://www.flickr.com/photos/takezawa/
●知子さんとは同郷のせいか、会長・社長のお二人がそろって我々を歓待してくださり、貴重なワインをテイスティング(というより飲み会)させていただいた。
もちろん、帰りには二ノ宮社長直々のおすすめワインの何本かを求めて帰宅した。
阿蘇山麓で買っておいた熊本の馬刺しと赤ワインとの相性が抜群で、あっというまに両方が空っぽになった。
食事は空っぽになったが、今回の旅の思い出は空っぽになんかなりはしない。「南阿蘇の契り」はこれからが本番である。