未分類

社長の引退計画 総集編

先週一週間かけてお届けしたハッピーリタイアメント計画に、たくさんの反響を頂戴している。MBOを使った方法以外に、M&Aを使った方法があるというご紹介もいただいたので、後日その方法も書いてみたい。

さて、東京のT社長(東京)から事実関係のご指摘メールが来ているので訂正を兼ねてご紹介する。

いつも愛読させていただいております。
(若いベンチャー企業ですので)引退というのはまだまだ先だと思 っていますが、記事の内容は大変参考になりました。
さて本日の記事の中で、

仮に4.9億円を7年で返済するならば、毎年7,000万円の元金を返済していかねばならない。新社長の役員報酬は年額8,000万円以上になるだろう。

とありましたが、手取りで最低7,000万は必要ですので、所得税と住民税あわせた最高税率50%としますと、役員報酬は15,000万~必要になるのではないかと思いますが、如何でしょうか?

<武沢より>ご指摘の通りでした。このケースでは8千万円ではなく、1億5千万円の役員報酬が必要、と訂正させていただきます。
ご指摘、ありがとうございました。

さて社長のハッピーリタイアメントと事業承継の問題、総集編をお届けする。
このテーマのベースは、株式会社ベンチャー・リンクの小林忠嗣会長の新春講演であることも前もってお断りしておく。

社長も50才、60才になってあわてて後継者対策を意識し始める人が多いが、もっと早めに着手しよう。早ければ早いほど良いと思う。
「自分は一生現役で働く」という志はあっぱれだが、いつまでも今の会社にしがみつくのではなく、計画的に今の会社を社員に継承できる状態を作っていこう。

まず、悠々自適のハッピーリタイアのイメージを確認しよう。

引退するときに備えておきたいもの、それは、

・健康
・豊かな資産
・安定した収入(配当+利息+年金)
・円満な人間関係
・家族環境
・やりがいと楽しみ(趣味や仕事、ボランティア)

が備わっていること。しかも事業から完全に断ち切れていて、個人保証債務や担保などもなくなっている状態を目指そう。

経営者が引退時に手にしたい個人資産とは、

毎月100万円の可処分所得を目指すとした場合、年に1200万円の収入になる。それを逆算すれば、

・4%運用なら3億円
・3%運用なら4億円
・2%運用なら6億円
・1%運用なら12億円必要

ここでは、年2.4%運用として「5億円を作る」ことを目指す。

ただし、引退後も後継者から給料をもらい続けるつもりなら、この5億円という金額は下げることができる。
また、個人の貯蓄や保険、年金、役員退職金の積み立てなども期待できるが、ここでは分かりやすく、引退時に5億円作ることにしておく。

事業から解放されるためには担保や個人保証の解除が必要となると、真のハッピーリタイアとは、

「事業の売却」または「自社株の売却」なくしてあり得ない。

※売却価格の20%が税金で取られるので厳密には6.25億円で売却できないと5億円にはならない。

しかも売却する相手は、同業他社や競争相手などではなく、優秀な幹部に会社を買ってもらうのが買う方も売る方も安心。残された社員の雇用の保証なども考えれば、それがベストだろう。
もちろん「優秀な幹部」の中に親族が入っていても構わない。

しかし、幹部社員が億単位もの資金を持っているとは考えにくい。
そこで有力な方法がMBOだろう。MBOとは、マネジメント・バイ・アウトの頭文字。

優秀な幹部にMBOを使って10年以内に会社を売却するのだ。

売却するにあたり、必要な条件はこうだ。

・5億円以上で会社を買いたいと思える事業(会社・組織)を作る事。
そのためには、少なくとも数千万円以上(できれば1億円以上)の経常利益が上がり、社長が退任した後もそれが見込めること。

・負債がある場合は、年間返済額を利益に上積みできること

・相応のキャッシュか、価値ある資産が社内にあること

・その事業を買ってでも引き継ぎたいと思える気概のある後継経営者が育成されていること

である。

MBOとは、要するに今の株主から株を買い取ってオーナー権を移動する行為である。その目的は三つ。

1.上場会社の非上場化
2.企業グループからの離脱
3.事業承継問題の解決

MBOのやり方を簡単に説明しておこう。

仮にA社の値段(株式の時価総額)が5億円だとする。
その場合、MBOを使ったオーナー権の移動スキームはこうなる。

1.まず後継候補者(複数可)が金融機関と一緒になって新会社「B」を設立する。仮に、資本金は一億円。幹部の出資金は1割の1,000万円としよう。
2.新会社「B」設立後に、銀行はさらに4億円融資する。
3.新会社「B」のキャッシュ5億円で「A」社の株を現オーナーから買い取る。
4.その後、BとAが合併する。

これで完了。経営権は新会社に移動し、そのオーナーである後継候補者と銀行のものになった。
新会社「B」では、社長の役員報酬を大きくし、その報酬の中から銀行の持ち株を買い取っていく。
そして数年かけて、100%新オーナーの会社になる。
まるで手品を見ているようだが、本当にできる。

銀行からみれば、「A」社に対する9000万円の出資、4億円の融資の双方で4.9億円のリスクを抱え込むことになる。
それに見合う担保と個人保証を要求するのは当然としても、資金回収のメドが一番気になるところ。

仮に4.9億円を7年で返済するならば、毎年7,000万円の元金を返済していかねばならない。税金を考慮すれば、新社長の役員報酬は年額で1億5,000万円以上になるだろう。
それでも経常利益が確実に出るような見通しがあれば銀行も安心だ。
しかも、旧社長(あなた)の年収が不要になるので、ハードルは下げられる。

当然、銀行と企業との間の深い信頼関係と充分な事前交渉が前提ではあるが、以上がMBOのやり方だ。
決して机上の空論ではなく、すでに上場企業のみならず非上場企業においても使われている実践的な方法なのである。

MBO → http://www.fxprime.com/excite/bn_ykk/ykk_bn29.html

最後の問題は後継者の人選。早く決めうちするのは良くない。

まずこう公表しよう。

「今後○年以内に私は社長の座を退くつもりだ。私の退任後は、君たちのなかの誰かがこの会社のオーナー社長になってもらう。私は、きれいさっぱり退任して会社には顔を出さない。呼ばれれば会社に来ることもあるかも知れないが、私をあてにしないでほしい。君たちに会社を買い取る資金がないのは分かっている。今はなくても構わない。貸してくれる金融機関を私が連れてくる。良い会社をつくるための情熱と才能がある人には皆、この会社のオーナー社長になれるチャンスがあると思ってくれて間違いない。そのつもりで励んでほしい」

だが、もし幹部の誰ひとり興味を示さない場合はどうすればよいのだろう。あるいは、誰にもその能力がなさそうだという場合。
その時にはM&Aが必要になるが、そのやり方は別の機会にゆずる。

最後に、後継者選びの基準についても踏み込んでおきたい。

後継社長にふさわしい人材とは、

1.強烈な達成意欲があること。
目標が未達成でも平気であるとか、無目標・無計画でも何とも思わない人に会社は任せられない。

2.周囲のメンバー(同僚・先輩・後輩)がその人ならついていける、と思える存在。
これは年令や社歴や役職に関係なく、その人の人間性に負う部分が大きい。

3.他人とのコミュニケーション能力が高いこと。
これはある程度、教育と自己啓発や経験で改善されるものではあるが、ある程度は備わっているにこしたことがない。

私(武沢)は、有限会社がんばれ社長という会社は私一代限りの個人会社だとずっと思ってきた。
なぜなら、「がんばれ社長!」のメルマガは私しか書けないからだ。

だが、私以上に優れた人が入社するようになり、そんな思いこみは捨てる決心をした。
「がんばれ社長!」は100年後も存在する会社であってほしい。そのためには、後継者育成と会社のオーナー権移動は欠かせないと思うようになり、このテーマは自分のためにも熱く書いた。

—————————————————————-

【武沢よりお知らせ】

「がんばれ社長!経営ゼミナール」では、ハッピーリタイアメント計画の作り方と会社の値段の付け方、中小企業格付の方法など、今までどこでも語ったことのない方法を本邦初、お教えします。

「がんばれ社長!経営ゼミナールは、
「1.立志編」、「2.立案編」「3.遂行編」の三部ゼミですが、「2.立案編」で上記のテーマをやります。

もちろん「経営マニフェスト合宿」でもトコトンやります。
それ以外のゼミでは、考え方と手法のご説明を簡単にやります。

さて、本日から東京ゼミ「2.立案編」と「マニフェスト合宿」の新規受付を開始します。ご興味のある方はぜひどうぞ!

4月10日(東京会場)13:00受付開始~17:00(ゼミは13:30~)↓

内容:利益の意味、増収増益する意味、
五カ年利益計画づくり
会社の値段の付け方
中小企業格付で未来を計画する
ハッピーリタイアメント計画の作り方

会場:八重洲 山川ビル
http://www.grs-office.jp/conference/images/map_yamakawa.png
受講料:14,800円(テキスト、マニフェスト書き込みキット付)

対象:社員数1名以上100名未満の社長、その候補者

定員:25名

詳細・申し込み → http://www.e-comon.co.jp/info_input2.php

5月1日(木)、2日(金)一泊二日缶詰合宿 受講者募集開始↓

内容:経営マニフェスト作りを行う缶詰二日間
初日夕食・二日目朝食・昼食、個室宿泊込みで

会場:東京晴海グランドホテル
http://www.maxpart.co.jp/harumi/

受講料:9.5万円(税別)

定員:限定12名 (これ以上入れません)

対象:社員数1名以上100名未満の社長、その候補者

詳細・申し込み → http://www.e-comon.co.jp/info_input2.php

※2月22日(東京)、3月3日(名古屋)4月23日(大阪)はいずれも満席となりました。札幌、福岡は申し込み受付中です。