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仕事術の改革

昨日号では、A君とB君という二人の部下を対比させ、優れた仕事ぶりについて考えてみた。
飛び入りの仕事を頼まれてもイヤな顔ひとつせず引き受け、期限内にきっちりやり遂げるA君。
それに対して、飛び入り仕事を渋々引き受けながら、なおかつ、今やっている仕事が遅れますよ、と平気で言うB君。

誰が見たってB君は情けない。
だが、「B君は素晴らしい」というメールが札幌から届いた。ご紹介しよう。

・・・
武沢先生、北海道のKと申します。札幌で開催された非凡会で何度か席をご一緒させていただいたことがございます。

さて、12月25日号のメルマガに関するご感想をお送りしたいと思い、メールを書かせていただきました

社長:B君、悪いけどこんな問題が起こった。明日にでも結論を出 したいので今日中にこの件のデータ集めをやってくれないかな。
B:(明らかに迷惑そうに)えっ、ボクがですか。今日中?
社長:君が忙しいのは分かっている。それを承知で君に頼んでいる のだ。
B:まぁ、分かりました。そのかわり、今取りかかっているこの仕 事が、その分だけ遅れますが良いですね?
社長:良いわけないが、しようがない。君にやってもらうしかない んで。

この部分を読んで、私は思わず「B君は偉いな」と思ってしまいました。
もちろんA君のほうが偉いのは当然ですが、私からすればB君も十分偉いのです

なぜなら当社のような田舎の会社では、皆、人は良いですがとてものんびり体質です。

よって、今回のようなパターンで、何か別の仕事を頼むといやな顔をせず「わかりました」と言ってやってくれるのですが、「今取りかかっているこの仕事」は否応無くそっちのけにします。

よって、別の仕事はやってくれたのですが、「おい、もともとの仕事はどうなってる?」と聞くと
「え?やってませんよ。」
と不思議そうな顔で答えるのです。

「やってませんよって、君、締め切りは今日じゃないか」
というと
「だって、社長が別の仕事をやれって言うから、そっちをやったんじゃないですか。別の仕事が入ったんだから間に合わなくて当たり前じゃないですか」と答えるのです。

社員からすれば「仕事のスケジュール管理」「優先順位」は社長がきめる物であって、それにしたがっているのに叱られるのは意味がわからないという感じです。

このような状態なので、安易に社員に物事を頼むと本来の仕事に遅れ
が出てしまう恐れがあるので社員には常々
「私は皆さんがどれだけの仕事を今抱えているかを常に100%リアルタ
イムで掴んでいるわけではありません。その上で、仕事を依頼するこ
とがあるので、もしその仕事を受けたら、今の自分の仕事に支障が出
る場合は
『今の仕事が遅れるので出来ません』と断るか、
『それを受けると今の仕事が○○日遅れますが、それでもその仕事を
請けたほうが良いですか?』
と私に確認してください」

と言っています。

なので自ら

B:まぁ、分かりました。そのかわり、今取りかかっているこの仕事が、その分だけ遅れますが良いですね?

と言ってくれるB君は当社では優秀な部類に入るのです。
少なくとも自分で仕事の進捗状況をコントロールしていますから。

当社の恥部のようなお話ではありますがちょっと感じた感想をお送りしてしまいました。

当社も早くA君のようなスタッフに囲まれるよう成長して行きたいと思います。

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
・・・

“北海道といえばKさんのサイト”と言われるほどに成功しているKさんが、裏側ではこうした地道な格闘をされている。
社員に正しい仕事術を教え込むのは容易ではないのだが、それができれば間違いなく企業力は向上する。

Kさん、メールありがとうございました。

仕事術といえば、下着メーカー「トリンプ」を昨年退任された吉越浩一郎(前社長)氏は、最近の著書『デッドライン仕事術』で次のように述べている。
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・すべての仕事に締め切り日を入れろ。
・「デッドライン(締め切り)仕事術」なら誰でも今日から実践できる。それは、”就業時間も仕事も、すべて締め切りを設定する”という非常に簡単な仕事手法である。
・ダラダラ残業せずに、毎日、「今日は○時に帰る」と決めて仕事をする。「来月中旬ごろ」という曖昧な言い方はやめて「×月×日まで」とすべての仕事に締切日を入れる。
・お尻の時間と仕事の締切日を決めるという二つのことを守るだけで仕事の効率は驚くほど上がる。

『デッドライン仕事術』より

・・・

こうした吉越式仕事術を社員全体に浸透させ、トリンプを19期連続増収増益に導いたのはお見事としか言いようがない。
これからの時代、社長は○○流仕事術を持つ必要があるだろう。○○にはあなたの名前が入る。
当面の間は、他人の仕事術をそのまま拝借しても構わない。その目的はただ一つで、より一層効率が上がる方法を追求するのだ。

社長は自分の仕事術を作り、明文化し、社員に教えよう。

「本当にやりたかったプロジェクトにとりかかる前に一年が終わってしまった」とお感じのあなた、本腰入れて仕事術の改革に取りかかろう。