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今、営業行為は許していない

本当は断りたいのだけど、むげに断ると波風がたちそうだ。
買うべきか、断るべきか、板挟みになって嫌な気分になったことがおありだろうか。

昨夜の私もそうだった。

最初は丸くおさめたかったが、これ以上黙っていては彼女の為にならないと思い、
「くどいですね。こちらの空気が伝わりませんか?しばらく僕には、何かを売り込むのをやめてほしい」と言ってしまった。

場所はエステサロンのマッサージ施術台の上。

エステティシャンが施術中に商品販売の営業トークを長々と続ける。
彼女は若くて美貌もあるが、売り込みの押しが強いのが前から気にはなっていた。
このエステのシステムが気に入っていて最近通い始めたばかりなので、できるだけ良好な人間関係を作りたいとこちらは思っていたので、我慢してきた。
昨夜も、「すごいねぇ」などと最初はつきあっていたが、やがてその商品の代金と支払い方法など、クロージングに入り出したのでストップをかけた次第。

「あなたは今、営業するのが仕事じゃなくて、僕に施術する時間でしょう。さっきから売り込みばっかり熱心で、それでマッサージに気が入ってるの?少なくとも僕は、リラックスしに来たのに、気が散っちゃって、むしろ不快な気分になってます」

彼女は素直に詫びたあと、「武沢さんに短時間で効果をあげてもらいたくて、最高のものをご提案したかったのですが」という。

だったら、最初から最高のプランを提案すべきだろう。通い始めてから関連販売を次々に行うのは客に負担をかけすぎだ。

「こんな新製品も出たので良かったら使ってください」程度なら誰も文句はいわないと思うが、エステティシャンが施術中に営業トークを展開するのはいかがなものか。

例えるならば、外科医が手術台の上の患者に向かって「オプションのこの薬を買っていただくと、手術が痛くありません」などと言えば、ふところの事情が許せば患者は買うだろう。
だが、そうして儲けようとする医者の姿勢に患者が黙っていない。

医師と患者、弁護士と依頼人、エステティシャンとエステ台の上の客、最初から前者の方が優位な立場にある。
それを利用して弱者に負担を強いるようなやり方は許されない。

お客さんのために・・という若い彼女の暴走なら笑って許すが、会社の指導でそうしているのなら許せない。