気持ちと身体はセットになっている。うれしいことがあると気分が良くなり、悲しいことがあると気分がふさぐのはホルモンの分泌によっても証明されている。
最近ではこんな実験もあった。
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「褒められると伸びる」は本当――。
運動トレーニングをした際に他人から褒められると、上手に運動技能を取得できることを、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の定藤規弘教授(神経科学)らの研究グループが実験で明らかにし、米オンライン科学誌プロスワンに発表した。
研究グループは右利きの成人男女 48人に、キーボードの 1から 4のキーを使った 5桁の数字を、左手で決められた順番でできるだけ速くたたく運動を覚えてもらい、運動直後に
(1)自分が褒められる
(2)他人が褒められるのを見る
(3)自分の成績をグラフだけで見る
の 3グループに分けた。
翌日、覚えた順番通りにキーボードを何回たたけるかを実験すると、運動直後に自分が褒められたグループは前日の練習から成績が 20%伸びた一方、ほかの 2グループは 13~ 14%の伸びにとどまった。
これまでの研究で、うれしいことがあると、脳内で記憶の定着に重要な役割を果たすドーパミンが分泌されると判明しており、田中准教授は「褒められた分、記憶が残って動きが良くなったのではないか」と話している。〔共同〕
→ http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0800O_Y2A101C1CR0000/
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気分が良いということは、能力も伸びている証拠。
それを知ってのことだと思うが、あるナイトクラブのママは褒め上手か聞き上手なホステスばかりを意識的に揃えている。以前は容姿の良さや話題の豊富さなどをホステスの採用基準にしていたが、あるとき心理学の本を読んだママは基準を変えたという。お客には三種類いるとママ。
(1)褒めてもらいたい人
(2)話をトコトン聞いてもらいたい人
(3)褒めてあげたい人
褒めると言っても簡単ではない。事実に基づいて褒めないと単なるヨイショと思われ逆効果になる。そこでママは「褒めネタマニュアル」を作り、それをもとにして積極訓練を開始したそうだが、マニュアルの内容はまだ聞き出せていない。今度、ママを褒めて聞き出そうと思っている。
「去年の年収が○億円だった」が口ぐせの友人を出来たばかりのクラブにご案内したことがある。そのママの店ではないところだった。結果は最悪だった。そのクラブのママが「億万長者にしては安そうなジャケットね」と言ってしまったのだ。日頃から歯に衣着せぬものいいがお客から受けていたママなのだが友人には通用しなかった。しかもアメリカから帰国したばかりだった彼は、その日、本当にウォルマートの 50ドルのジャケットを着ていたのだ。間が悪かったわけだが、彼はその店の敷居をまたぐことは二度とないらしい。