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営業管理という濡れタオルをギュッと絞ろう

ギュッとしぼればポタポタっと利益とキャッシュが滴りおちる濡れタオル、それが「営業管理」である。私が 40歳でコンサルタントを始めたころ、仕事は二つの業務に大別されていた。ひとつは「経営計画書」づくりのサポート、もうひとつが「営業改革」のお手伝いである。

いくつかの会社では、営業社員と一緒に客先に出向き、実践指導したこともある。私が美容室に飛びこんで野立看板の営業をしたこともある。また、注文住宅会社、パチンコチェーン、家電量販店、野立看板広告社、地方コンビニチェーン、運送業、冠婚葬祭社、水道工事店、エクステリア販売会社などでは、その会社独自の営業マニュアルづくりのお手伝いもした。

成長する会社には独自の営業マニュアルがあったり、データに基づく営業管理が出来ている。いま見てみたら、ある注文住宅会社の営業マニュアルがキャビネットにあったので、今日はその目次だけをご紹介したい。その会社の社長や営業幹部と一緒になって半年かけてつくった労作である。

1.新人営業社員のあなたに(オリエンテーション)
2.基礎知識としての「営業数字、経営数字」
3.経営理念を実践する「顧客第一主義の営業とは」
4.見込客発見の心構えと技術
5.新規商談の前準備
6.劇的な効果をあげる商談の技術(別冊「商談マニュアル」では想定会話が収録されている)
7.商談後のランクアップ活動
8.スマートな販売締結の技術
9.時間管理・自己管理の達人になる
10.紹介獲得と有力者の育成
11.既存客満足を高めるフォローアップ活動
12.ローマは一日にしてならず「ROMA」レポート・オブ・マイ・アクション(あなたの営業活動記録)を付ける
14.日報、案件報告書、月間週間計画書の書き方、活用の仕方
15.コミッションシステム「あなたの年収を決めるのはあなた」
16.むすび

それぞれの項目が 10ページから 20ページほどあるので、全体では200ページを超える分量だ。A4のルーズリーフに納められ、ページ単位で改訂できるようになっている。

マニュアルを作るのは造作ないことだが、それを社内に根づかせるには時間がかかる。マニュアルに基づいて営業社員の動きを変え、会議やミーティング、教育や評価、賃金までをも変えてしまう必要がある。それには 1年以上の歳月を要するが、それをやった会社は着実に営業力を高めていく。

管理が下手な会社は結果管理しかやれていない。「目標 100万円に対して昨日までの実績は 20万円だ。すでに月の半ばまできているのに、お前、どうするつもりだ」「はい、がんばります。月末に大きな商談が控えていますから必ずそれを受注して目標達成します」「本当か?」「はい、石にかじりついてでも達成します」「君には期待してるんだぞ」「はい、ありがとうございます。がんばります!」

こういうのを結果管理といい、多くの場合、期待は裏切られる。そうすると営業会議はお互いの未達の言い訳をする場になり、業を煮やした社長は、営業会議の場において根本的なことから説教を始めねばならなくなる。こうした営業会議は雰囲気が重く、営業社員にとっても社長にとっても、ムダで非効率なことである。かといって会議を止めてしまったらもっとひどいことになりそうでやめるわけにもいかない。

大切なことは、営業社員に期待することや具体的な役割が明確になっていることと、データに基づくプロセス管理がきちんとできていることだ。

「当初の活動計画では今日の時点で 400電話、20アポイント、15商談が出来ているはずだが、どうだい?」「はい、電話本数は 93%の達成ですがアポと商談の数は 105%超と計画通りです」「困っていることはないか?」「今日のところはありません」「よし、引きつづきその調子で動いてくれ」「はい、わかりました」

やるべきことがわかっていて、共有すべきデータも分かっていると、営業部長も社長もマネジメントすべきことは絞られてくる。

ひとつの事例として株式会社セールスフォース・ドットコムの営業管理を見てみたい。同社はなにしろクラウド型の営業管理ソフトを販売している会社なので、同社のソフトをフル活用している。その結果、なんと7つのムダがなくなったという。その7つのなかに営業会議の開催まで含まれているというから、きわめて先端的な営業管理といえよう。

こういったソフトを使うことで営業の管理力がグンと高まるのであれば、これほど安くつく投資はない。営業管理という濡れタオルを絞る方法がこれで分かるはずだ。

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