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広告は効果があることを実証した会社

外国には皮肉をこめたこんなジョーク話がある。

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あるスーツ姿の男がローマ法王と商談していた。黒い書類カバンから契約書を取りだし、法王にこう言った。

「条件は 100万ドルということで!」

法王は気色ばんで言った。「とんでもない。10億ドルだ。それ以下は絶対認めん!」「そうですか」とスーツの男が言った。そして、「これが本当に最終です」と 5億ドルを提示した。

「絶対だめだ」と法王は怒り、席を立ちかけた。「 6億ドル。カトリック教徒 1人につき 1ドルだ。でなきゃ、この話はおしまいだ!」と法王。

「最悪です。じゃあ、この話はなかったことにしてください。決してライバル社には安売りしないでください」とスーツの男は帰っていった。

やりとりを聞いていた庭師のマリオじいさんは、法王に声をかけた。「法王様、あの男が 5億ドルも払うと言っているのに追い返すとはなにごとです?」「お前にはわからん世界だ」「いったいあの男はなにを欲しがっていたんです?」「いや……」法王は口ごもったが、話してやることにした。

「主の祈りのところを最後だけ変えてくれというんだ」「祈りの最後っていうと『アーメン』ですよね」「そうだ、ところがあの男は『アーメン』ではなく別の言葉に変えろと言う」「なんて言葉です?」

「『コカ・コーラ』」
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もちろんこれはコークいや、ジョークである。実際にそうした密談が行われたわけではない。ただ、コカ・コーラの宣伝力のたくましさを揶揄(やゆ)しての創作話なのだが、もし本当にアーメンのかわりにコカ・コーラと世界中で言ってくれるのなら 10億ドル( 1,000億円)でも安い取り引きだろう。

また、ウィキペディアにはこんなエピソードが紹介されている。

・・・(コカ・コーラの)ある技術顧問がカンヌの将校クラブでカトリック教会の神父相手にコカ・コーラで法王に祝福を受けて貰えば、と冗談交じりに話したところ、バルジの戦いで神父が聖水の代わりにコカ・コーラで洗礼を施していたのを目にしたという。
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どこまで本当かは分からないが、さもありなんと思わせるエピソードである。

129年前の 1885年 8月の暑い日、漢方医だったジョン・ペンバートン(54歳)が釜で煮立てた煎じ薬を炭酸水で割ったことから生まれた「コカ・コーラ」。ジョンが死ぬ直前に、エイサ・キャンドラーが処方を買い取り、大がかりな広告キャンペーンを展開してたちまちアトランタ一番の大富豪にのしあがった。

アメリカ特有の文化である炭酸水売場。イタリアの「バール」のようなものだろうか。当時のアメリカ人の社交場がドラッグストアのカウンターだった。炭酸水が発明されて間もないことでもあり、炭酸水そのものに薬効があると信じられていた。それぞれの店では、趣向をこらした炭酸水を売っていた。独自の薬品を加えて薬効をうたったものや、アルコール入りのものなど様々な工夫が凝らされていたのだ。「コカ・コーラ」はそうした炭酸水売場に原液を販売して回るビジネスを始めた。

その当時は類似品に悩まされた。ライバル社と差別化するには、明確なブランド化を急ぐしかない。コカ・コーラの経営陣は必要に迫られて独自のデザインをほどこし、広告看板やポスター、カレンダー、ノベルティなどを配って差別化した。それが今日のコカ・コーラの基礎にある。

「広告は効果がある」ということを立証した会社の代表例ともいえるだろう。