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インディの銃

あなたは体調が悪いとき無理してでもがんばるか、あるいは思い切って休養するか、どちらだろう?

基本的には、「毎日ベストコンディションで出社する」のが社会人としての目標だ。やれ風邪だ、やれ体調が・・、などは仕事の言い訳にならない。
とは言うものの生身の人間、ハリウッドスターだって撮影日に風邪をひくことがある。

『インディ・ジョーンズ/失われたアーク』でハリソン・フォード演じるインディが、カイロの街中で恋人を追う場面がある。
この収録の日、実は主演のハリソンはウィルス性胃腸炎にかかっており、絶不調だったそうだ。

「どうしよう。ハリソンを休ませるべきか?でも撮影を遅らせたくない」監督のスピルバーグは迷った。

その日の収録は、ハイライトシーンの一つとなるはずの場面が撮られる予定だった。しかも、もともとの脚本ではインディがムチを駆使して大刀をもつ敵と激しくバトルすることになっていた。

クレイジーな笑顔で大刀を振り回しながら迫ってくる悪漢。我らがインディには有名なムチがある。だれが観ても、大刀対ムチの壮絶なバトルを予想する。

だが、

スピルバーグが現場で急きょ脚本を変えた。
ハリソンの体調に配慮して、バトルをやめさせ、拳銃で相手を撃たせることにした。
これがかえって観客の期待をはぐらす名場面として映画の評判を高めることにもなったという。

心身ともにベストコンディションで仕事することが望ましい。

だが、そうでない時だってある。だったらコンディションが悪いなりの仕事法があるということだ。