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謀反すべし

謀反が成功すれば英雄になり、失敗すれば英雄になれないし、悪名が歴史に残るときもある。謀反は、リスキーな行為だ。

だが、ビジネスや人生はもともとリスキーだと考えれば、謀反そのものをイケナイと決めつけるのはいけないと思う。謀反をおそれていては何も出来ないかもしれないのだ。

話はややそれるが、社員なんだから社長の言うことを聞くのが当たり前だ、と思っていたら大間違いだろう。
“社長が社員を採用してやった”というような驕った気持ちがどこかにあると、社員にそれが伝わる。その結果、社員は社長に反旗をひるがえす。
「社員が会社を選んだのであり、たまたまその会社の社長があなただった」という時だってあるのだ。
社員が黙って去ってくれるだけなら幸せな謀反だが、声高らかに宣戦布告し攻撃をしかけてくる謀反だってあるのだ。

そもそも、親友や親戚、夫婦、親子ですら謀反がつきものだ。表面的にはうまくいっていても、波風をたてたくないから今は我慢しているだけ、という時があるものだ。

昔、こんな話があった。
彼は、血液型A型の典型的な几帳面タイプ。机の上に置いた腕時計の向きが気になって夜中に目を覚ますような子だった。
親や友だち、学校の先生に対しては、ずっと「良い子」で高校生までになった。中学生までは学級委員を毎年つとめ、成績も学年ベスト10にいつもいた。親から見たら自慢の息子だったに違いない。

そのA型青年がある日、突如、家出した。ボストンバッグに着替えだけを詰めこんで、衝動的に夜8時に家を飛び出た。親が電話中のスキを盗み、弟には「僕は今から家出する」とだけ告げた。
原因は、ここでは触れないが”家庭内事情”によるものとしておこう。

親に対する最初の、そして最後の謀反がこの出来事だった。そしてその謀反に彼は勝った。
彼はこの日を境にして血液がすべて入れ替わったかのように人が変わった。親に対する精神的「独立宣言」だったのだ。
親の言うとおりになるのが良い人生ではなく、親と別の意見でも、自分の考えが親に認められるということをはじめて知った。

そのA型青年が私だ。

精神的独立ができたとき、親との新しい関係が始まった。
すでに保護者対非保護者の関係ではない。親と子の新たな尊重しあう関係だ。

社長と社員の関係だって雇用者と非雇用者の関係をいち早く脱し、尊重し合う関係作りを急ぐ必要がある。それは誰のためでもなく、社長であるあなたにとって意義ある関係なのだ。