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変わる経営理念

ある経営者にむかって私は強く申し上げた。

「逃げてはいけない、今です。今、この場で作ることができるものです」と。

経営理念を作りたい、そして、中長期の経営ビジョンもまとめ上げたいということで、私が主催するセミナーに彼にもご参加いただいた。

複数回にわたって経営理念の作り方をご説明し、そのための書式も差し上げた。でも二ヶ月たった今でも理念が一行も出来ていないというのだ。

私が思うに、その理由は「あと延ばし」の誘惑に負けているからではないか。
そして、彼はなぜそうするかを考えた。

ひょっとして彼は、経営理念を教科書的に理解してしまい、金縛りにあっているのではないか。

教科書いわく、「経営理念は未来永劫変わらないもので、それこそ社長が何世代も代替わりしようとも変わらない我社の根本的価値観と理想を文章にしたもの」

今までそれに近いものが何もなかったのに、そんな理想的なものを作れるわけがないのだ。
もし作れるとしたら、他社事例を参考にして作った模範解答的な理念に過ぎなく、社長の魂が入っていない借りものに違いない。

私はセミナーで幾度となく「経営理念は変えても良い」と申し上げ
てきたが、今後はもっと大胆にこう申し上げることにした。

「経営理念はどんどん変わっていくべきだ」

個人であれば、老いることなく成熟したい。そのためには、成長と自己変革がいる。
法人であれば、筋肉質に発展していきたい。そのためにもやっぱり、成長と自己変革が必要だ。

成長と自己変革に応じて理念はもちろん、理想も変わっていくものだ。

ドラッカーが今日の言葉で語っているように、人も会社も「何によって人に知られたいか」を自問しなければならないし、それは、歳をとるにつれ、成長するにつれ、変わっていかなければならない性質のものだと思う。

経営理念も長期ビジョンもどんどん変わるべし。
ただし、どうせ変わるから作らない、というのでなく、変わるために今作るのだ。

明日でも今晩でもなく、5分の時間があれば今すぐにでも作り始められるもの、それが「経営理念」だ。