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若手と中高年

1970年、埼玉県生まれ。若干26才にして名人、竜王、棋聖、王将、王位、王座、棋王の将棋七大タイトルを総なめ。将棋界始まっていらいの快挙に世間は沸いた。その人、羽生善治(はぶよりはる)が書いた『決断力』(角川oneテーマ21)が味わい深い。

公式戦だけですでに1,000局以上の将棋を指してきた羽生氏だが、「直感の7割は正しかった」という。直感とは意味もなくまったく偶然に浮かぶものではなく、過去の経験や培ってきたノウハウなどが無意識の中にしっかり詰まっており、それがパッと浮かびあがってくるもの。
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羽生氏は、直感とは「思考の過程を省略した結論」だと言う。
将棋において、思考の過程が緻密で高速だったのは20代のころで、年代が上にいくほど、短時間で読む力は衰える。それにかわって伸びてくる能力が、思考過程を省略して結論を出す能力なのだというのだ。

ただし、直感の7割もが正解であり続けるためには日頃の研究が欠かせない。漫然と生活していて、直感だけで7割も正解を出すことはできないのだ。

そのあたり、羽生氏はこう書いている。

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笑い話のような話なのだが、昔の棋士は、朝、対局場に来て、「今日は、どんな形で戦おうかな?」と戦型について「ソバにするか、うどんにするか」という感じで決めていた。10代の頃は、自分もそうだったし、周囲もみなそうだった。
しかし、体系化の進化は序盤の進歩をもたらし、将棋が、最初から最後まで厳しい勝負になった。
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つまり、事前に相手の指し手を研究することや、あらゆる場面での好手、悪手の研究、最新の指し手情報などを集め、取り入れている棋士がいつまでも現役で強いということだ。


コンピュータが威力を発揮するのは将棋や囲碁、チェスなどのゲームだけではない。
最新の経営手法や情報に関して、コンピュータを使って経営する若手経営者が中高年を席巻する時代が始まりつつある。

負けるな中高年。

もともと直感と洞察に富んだ中高年がコンピュータを駆使すれば、おめおめとやられてばかりはいられない。