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上海スピード

※今日の「がんばれ社長!」は、昨夜の上海での出来事をモチーフに書いています。書いている場所は上海から杭州へ向かう電車の中。
私の横で鮮やかな黄色のワンピースを着た中国女性がケンタッキーフライドチキンとペプシの組み合わせを楽しんでいるのを気にしながら書いています。
今日ご紹介する話はすべて実話ですが、登場人物や店名などは変えてあります。


「魅力的なビジネスプランだったので、一号店に出資しようとしたら、あまりの人気で、すでに出資希望者でいっぱいだった。何とか二号店には出資したい」と語るのは上海で活躍する日本人ビジネスマンの池山氏(36才)。

一号店とは何のことか。
中国東北地方にある中国式焼肉専門店『吉桜』の上海第一号店のこと。
上海には焼肉店が少なくないが、『吉桜』はコンセプトが斬新で、経営者の経営力も高いという。

よし今日の晩ご飯は『吉桜』にしよう。

池山さんの友人、馬(マ)さんもさそった。馬さん(39才)は、タレント養成所と芸能プロダクションを経営し、最近は2010年の上海万博を見越した旅行会社の経営にも参画している。


『吉桜』に入った。先週土曜日にオープンしたばかりで、まだ三日目。店内はピカピカ。池山さんから事前に電話してあったのか、社長の黄(コウ)さんもにこやかに登場し、我々と同じテーブルに腰かけた。

黄さんは今年38才になるが、今までのキャリアは不動産管理会社の総経理として財務や資金などに精通した後独立。この数年は友人との共同出資で中華料理、火鍋専門店、サウナなどを経営してきた。

初対面のあいさつと名刺交換をすると、「あ、がんばれ社長ですね。おもしろい名前ですね」という。留学生として二年間日本で生活していたらしく日本語はほとんど大丈夫だ。

着席するなり黄さんは「私は焼肉王になります」と切り出した。

いきなり来た、という感じ。私がジョークのつもりで、「黄さんが焼肉なら、私は”焼肉喰おう”になります」と言ったが誰にも通じなかったようだ。

黄さんはさらに熱く続ける。

「私たちの前に道は大きく開けています。こんなチャンスはそんなにあるものじゃない。経済発展にともなって中国人の生活ぶりがどんどんかわってきています。一度知った豊かさはもう離しません。もっともっと豊かさを追求するでしょう。私は幸いモンゴルと太いパイプが出来て、毎日生の牛肉や羊肉、豚肉を空輸する仕組みを作りました。これを武器に、おいしい焼肉を低価格で気軽に食べられるようなお店をたくさん出店し、チェーンストア化していきたいのです」

上海にはすでにたくさんの焼肉店がある。他店とどう違うのかを尋ねた。

「一番わかりやすいのは客単価の違いです。家族や友人とワイワイ焼肉を食べに行くと普通は一人150元(2,250円)から200元(3,000円)かかります。この値段だと、一定以上の収入がないと食べられない。ですが、うちのお店では客単価50元(750円)です。この値段だと食べられる人がすごく増える」


焼肉王になるための戦略を聞いた。

「一般大衆に低価格焼肉を提供し、市場でトップシェア、トップブランドになる。そのためにはスピードが一番大切だ。自己資金だけによる直営店舗展開では遅い。店舗展開に協力してくれるパートナーが大切となるが、のちのち仲間割れを起こすようなパートナーとは組みたくない。その辺をどうやってマネジメントするかはこれから考えなくてはならない」

初対面の人にもとうとうと自分の夢やビジョンを語る若者の姿は美しい。8月には愛・地球博に来るという。名古屋メシをご馳走することを約束した。

<明日は黄さんから聞いた驚異の投資回収モデルをご紹介したい>