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人でもなく、利益でもなく・・・

Rewrite:2014年3月20日(木)

大切な経営判断をするときに、なにを判断基準に置くのかを決めていないと、いつも悩める社長になってしまう。
事業への参入や撤退、社員の待遇処遇に関するることとなると、様々なことがからみ合って迷いに迷う。人を取るのか、利益(会社)を取るのか、という問題でもある。

四国に本社をおく上場会社「株式会社タダノ」の多田野相談役が、ある会合で次のようなお話しをされた。
「私が経営をまかされる立場になってしばらくして、尊敬する経営者から質問された。それは、『君にとって事業の目的は何かね』というものだった。その場はしどろもどろながら何とかごまかせたが、冷や汗ものだった。即答できなかった自分が悔しくて悔しくて、それから答えを求め続ける旅が始まった。」

とつぜんに「事業の目的は?」と聞かれても困るのが普通だ。即答できなくても経営はできる。でも、これに答えようとする努力は大切だ。
多田野氏は続けた。
「利潤の追求という面と、人間性の追求という両面の間を行ったり来たりしている自分があったが、あるときドラッカーの本を読んでいて、ついに自分の求める経営の最終目的が見つかった。その最終目的を見つけた後は、迷いが大幅に減った」そうだ。

多田野相談役がみつけた”ドラッカーの本からの答え”、それこそ『顧客の創造』である。
私たちがいかなる事業を営んでいようとも、それが事業であるかぎり顧客の創造と無縁では存続すらできない。真正面から顧客創造と向き合う必要がある。かつては、財閥系のグループに所属していたり、トヨタ、日産など大企業の系列に属していたりすれば、顧客創造しなくとも仕事が舞い込んできた時代がある。しかし、そうした大企業もいまでは系列を解体したり、さっさとアジアに行ってしまったりで中小企業は仕事の保障がなくなった。
自前の経営力で顧客を創造しなければならない時代なのである。